先住民の食生活と菜食生活・・・農耕時代であっても、世界中の文化や宗教の中で、食べていい肉いけない肉、調理法から屠殺法まで様々な歴史があった

先住民の食生活と菜食生活①
 
通常の歴史では人類発祥から700万年たっているとされますが、ヒトの脳の大型化とヒトの進化は、肉食化によって起こってきたと人類史や文化人類学や生物学は指摘しています。
そのために狩猟行動や技術を向上させてきたわけですが、肉食がいいだ悪いだいう前に、まずは人類の歴史はどうであったかを検討してみないといけません。
さらにいえば農耕時代であっても、世界中の文化や宗教の中で、食べていい肉いけない肉、調理法から屠殺法まで様々な歴史があったことも検討しなければいけません。
 
たとえばシベリアの先住民は何十種も存在しますが、彼らは非常に動物食であり、氷河期の前後であっても実は氷河ではないことが分かっています。
夏は広大な草原地帯なので、多くの動物がサバンナのように動物相を作っていました。
これは狩猟採集民族にとっては生きていくうえで重要でした。
彼らの多くは一番狩猟したのがトナカイでしたが、彼らにとって狩猟した動物とは単に食べ物という扱いではないのに着目する必要があります。
 
ウクライナの遺跡では住居に動物骨を利用していました。
ドイツの洞窟ではハゲワシの骨を利用してフルートのような楽器を用いていました。
ドイツのシュターデルではマンモスの牙を使って、ライオンの顔をした立像が作られています。
彼ら狩猟採集民族の思想の多くでは、動物の特徴として単に食物ということではなく、擬人化され対等性を見出すことが多いです。
擬人化によってコミュニケーションが取れ、自然界との相関関係によって、単に人は狩猟採集するだけでなく、自然界へ返礼する義務を生じるわけです。
 
マリタ遺跡では子どもの墓の副葬品に白鳥の彫像をささげています。
シベリアの先住民であるネネツ人はその後トナカイ牧畜を始めましたが、彼らはトナカイの肉をよく生食で食べます。
屠殺すると民たちはそこに輪を作り、生肉や血液を重宝し、最後には全てを有効に使おうとします。
この生食はどちらかというと先住民全体の風習ではないようですが、腸詰というのもまた先住民から始まった保存食で、血液や油脂を第一胃に入れておくことで保存します。
 
ネネツ人にとって魚にはタブーが多かったようです。
女性全般において月経期は魚には接触禁止であり、平時でもナイフでさばいてはいけません。
男性もさばき方が決まっており、ぶつ切りにしか切ってはいけないことになっています。
イヌイットは北アラスカなどの狩猟採集民族ですが、彼らはほとんど植物性のものがとれず、動物狩猟か魚、またはベリー類などが主として食料減になります。
燻製や乾燥などで肉を保存するのも重要な作業です。
 
彼らは動物が肉と毛皮を提供してくれたと考えますが、必ずそのイヌア(魂)を開放して動物の世界に送り返します。
イヌイットの世界では時間は永遠に循環するという宇宙的思想があり、一つの魂が循環できなくなれば、その魂、ひいては存在が世の中から失われると考えます。
これは農耕社会の考え方や、近代欧米社会の時間観念とはかなり異なります。
その欧米社会殺戮文化のなれの果てとして結実したのが、菜食主義であるというのが人類史の基礎となるところです。

参照:https://www.facebook.com/satoru.utsumi/posts/2618694088214328

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