潰瘍と栄養欠乏・・・潰瘍は基本的にストレス要因や性格などに大きく依存するわけですが、栄養の欠乏によっても起きます。ビタミンEを補給すると、潰瘍が軽減されることが指摘されています。

潰瘍と栄養欠乏

潰瘍は基本的にストレス要因や性格などに大きく依存するわけですが、栄養の欠乏によっても起きます。

60年前のHorwittらの試験では、志願者にビタミンEを欠乏させると、他の栄養素を充足させても、潰瘍になったことを報告しています(Fed. Proc., 18:530, 1959)。

実際に、いくつかの基礎研究で、ビタミンEを補給すると、潰瘍が軽減されることが指摘されています(Tr. J. of Medical Sciences 28 (1998) 19-21)。

そもそも、潰瘍の病因は、粘膜を損傷する因子(胃酸、ペプシンなど)と粘膜を保護する因子(粘液など)の不均衡によっておきます(Med. Clin North Am. 1993;77:88-17)。イメージとしては、胃液 > 粘液 という感じです。

ビタミンEは胃粘膜の粘液を増加させる栄養素のひとつです。

ラットや犬をもちいた研究では、タンパク質やシステインという含硫アミノ酸を欠乏させれば、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が簡単につくれます(Gastroenterology. 1946 Feb;6:140-4)。ストレスは体からタンパク質を引き抜きますので、その補給ができないと、潰瘍のリスクが上がるわけです。

マウスを使った研究でも、タンパク質を与えないと潰瘍が早いうちから見られますし(Am J Physiol. 1960 Mar;198:619-20)、すでにタンパク質が不足した状態でストレスを与えれば潰瘍は早くあらわれます。

ビタミンCを合成できないサル、モルモットにビタミンCを欠乏させると、すぐに潰瘍ができます。このストレス・モルモットにビタミンCを投与すると、潰瘍が予防できたという報告もあります。ストレスと出血の関係は以前から指摘されており、ここには、ストレス→ビタミンC消耗→ビタミンC不足による壊血(病)が関係しています。

コルチゾン(=ストレスホルモンであるコルチゾールの前駆体)を患者に投与し続けると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍になることがあります。不活性型のコルチゾンが体内で活性型のコルチゾールになれば、ストレス時と同じように、タンパク質を破壊し引き抜きます。また、空腹時の胃酸の量やpHも極端に下げます。

ビタミンB群の一つパントテン酸を十分に摂取させておくと、コルチゾンを大量に投与しても、潰瘍を予防できます。

他にもコリンが不足すると、潰瘍をおこし、その後脂肪肝にもなることがあります。コリンが不足すると、アルカリ性の胆汁が胃に逆流し、そのまま潰瘍になります。アルカリ性だから胃酸を中和して良さそうですが、実はそうでなく、胃酸を中和することで、タンパク質食品の消化を悪くさせ、未消化物が速やかに胃から排出されるため、空っぽになった胃に胃酸がさらされてしまうからのようです。

葉酸やビタミンA、B6の欠乏も潰瘍になるリスクが上がります。

その潰瘍、ストレス要因だけでなく、栄養の面からも考えてみてください

参照:https://www.facebook.com/nobunaga.yoshitomi/posts/1286220028225029

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