βカロテン食材の摂取はなぜ必要なのか

βカロテン食材の摂取がなぜ必要?

厚労省によるビタミンAの1日の推奨量は、成人で750μgとしていおり、上限量は3,000μgまでとしています(※1)。

さて、ビタミンA食材といえば、たとえば鶏レバー(14,000μg)、豚レバー(13,000μg)、うなぎ(1,500μg)、ほたるいか(1,500μg)などが上がると思いますが(それぞれ100g中の含有量)、これらを毎日摂るのはさすがに不可能ですよね。

なぜなら、たとえば、レバーはビタミンA以外にも他ビタミンや鉄・亜鉛などのミネラル分がたっぷりと高用量に含有されていることもあり、たまにの摂取がちょうどよく、毎日では過剰摂取になってしまうからです。では、うなぎやほたるいかはどうでしょうか?うなぎは年中あっても高級食材ですし、ほたるいかについても決して入手しやすいものとはいえません。

では他の動物性食品ではどうでしょうか?牛の赤身肉には100g中に約3~5μgしか含まれていません。赤身肉を1日にたとえ500g食べても25~15μgしか摂れず、まったく推奨量に届かないのです。お肉の脂身100gには17~30μgのビタミンAが含まれていますが、やはり脂身だけで推奨量に到達するのは、さすがに気持ちが悪くなります。

では、いったい何を食べればビタミンA推奨量に達成することができるでしょうか?

それはずばり「βカロテン食品」です。つまり、黄色の色がついた植物性食品や、または葉っぱの部分に多く含まれています。

βカロテンといえば、ニンジンやカボチャを思い出すことでしょう。ニンジン100gにはβカロテンが7,700μg、αカロテンが2,800μg含まれています。これをビタミンA(レチノール当量)に換算すると760μgとなり(※2)、つまりニンジンを100g食べれば推奨量に届くといえるのです。カボチャの場合、βカロテン量をビタミンAに換算すると100g辺り330μg含まれており、これもまた優秀です。

実際に、アジア圏(おもに中国)では、1日のビタミンA摂取量の70%を野菜・果実のβカロテンから得ています(※3)。つまり、現実的にビタミンAを日々の食事から得ようとするならば、βカロテンが含有した食材からもきちんと摂取するという意識が必要です。

もちろん、ほかの動物性食品からでも得ることはできます。バター100gには510μg、卵1個には230μg含まれています。しかし、動物性食品だけに偏らず、植物性食品も摂取するというバランス的な考えや、βカロテンはビタミンAの前駆体として働くのではなく、それ自体にも重要な抗酸化作用があるということを考慮すれば、やはり、日々βカロテン食品をきちんと摂取することは重要だといえます。

また、ビタミンAやβカロテンをサプリメントで摂取することは、長期的にはあまり勧められません。臨床試験や疫学調査ではネガティブな結果が多く見られるからです。これらの脂溶性の栄養素はあくまで食材から摂取することが過剰症にならないポイントとなるのです。もちろん短期的治療として使用が必要な場合もありますが、長期では決して勧めることができません。

ビタミンAの摂取は、ついサプリメントで補えばいいという安易な考えを持っている人がいませんか?しかしながら、薬学的な見地から安全性という面では長期摂取はお勧めできません。日々のビタミンAは、βカロテン食材からも摂取できるので、これらを上手に利用しましょう。

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※1 これは国際単位にすると、推奨量は約2,200IU/日、上限量は約9,000IU/日となります。(ただし、妊婦さんの場合、摂取量の注意が必要で1,800IU/日と考えてください)

※2 食事性βカロテン1μgでは、1/3.6~1/28μgのビタミンAに変換されるといわれており(Am J Clin Nutr. 2010 May;91(5):1468S-1473S)、これらを平均して、一般にβカロテン1μg = ビタミンA 1/12μgとされています。αカロテンは1/24μgビタミンAとされているため、7700÷12 + 2800÷24 = 643+ 117 = 760μgビタミンAとなるわけです。

参照:https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1088193328027701&set=a.122416054605438&type=3&theater

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