保存料が腸内フローラに悪影響・・・腸内フローラの破たんが起きてしまい、免疫力の低下だけでなく、アレルギーや自己免疫疾患まで発症

『保存料が腸内フローラに悪影響を与えてしまう』という発表

中央ヨーロッパ・チェコ共和国による新しい研究では、「食品添加物としてよく使用されている保存料が、腸内細菌叢に影響を与える可能性がある」という報告をしています(Hrncirova L et al ,Folia Microbiol (Praha). 2019 Jan 17. pp1-12)。※ただし、これは試験管での試験結果です。

研究者らが今回の試験に用いた食品添加物は、安息香酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、そしてソルビン酸カリウムです。食品添加物を勉強したことがある人にとって、これらはよく使用される保存料であるということはすぐに理解できると思います。

保存料は、その食品が腐敗するのを防止するために添加されます。これは食品の消費期限や保存期間を維持するというメリットがあり、これにより多くの人が食中毒から免れていることは事実で、その恩恵は大きいことでしょう。

一方で、保存料を摂取した場合、腸内細菌の多様性を低下させたり、健全な組成を崩壊させてしまう可能性があることは容易に推測できます。どのくらいの量で細菌の増殖を抑制するかは個人差もあるため、正確な事は言えませんが、毎日、コンビニなどで保存料の入った加工食品を摂取した場合には腸に影響がある可能性があります。そうなると、腸の免疫システムが破たんしていくかもしれません。

実際に、ソルビン酸を使用した培養液では細菌がほとんど増殖できなかったという他の実験もあります。

さて、今回の試験ですが、保存料が腸内細菌叢の組成を変化させるという仮説を検証することが目的で、代表的なヒト常在菌を選んで、それぞれの保存料に対する感受性を観察したものです。感受性が高ければ、保存料による影響が強いということになります。

結果、予想通り、安息香酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウムそれぞれに対して、今回試験に選ばれた細菌群はそれぞれ高い感受性が示されたのです。

例えば、バクテロイデス属のcoprocola(コプロコラ)は、保存料・亜硝酸ナトリウムに対して、(耐性の強い)フェカリス菌よりも約580倍もの感受性を示しました。

また、抗炎症的な性質をもつ植物由来の乳酸菌ラクトバチルス・パラカゼイもやはり、それぞれの保存料に対して、フェカリス菌よりも著しく感受性が高かったのです。

研究者らは、「ヒト腸内細菌叢は、たとえ低用量の保存料でさえも摂取が続けば、腸内細菌叢の組成や機能性を変化させてしまい、私たちの免疫システムに影響を与える可能性がある」と結論付けています。

「安息香酸ナトリウム」は栄養ドリンクや清涼飲料水または化粧水などに、「亜硝酸ナトリウム」はハムやウィンナーなどの加工肉または明太子などに、そして「ソルビン酸カリウム」はワインやチーズ、ジャムまたは加工肉などに、それぞれよく使用されています。

食品を長持ちさせる、見た目をよくさせるなどの、保存料の恩恵もあるでしょう。しかし、これらをいつの間にかよく摂取していると、腸内フローラの破たんが起きてしまい、免疫力の低下だけでなく、場合によってはアレルギーや自己免疫疾患まで発症させてしまうことだってありえます。

保存料は腸内細菌の組成に悪影響を及ぼしてしまうのです。

参照:https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1105780206269013&set=a.122416054605438&type=3&theater

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