フルーツから摂取する果糖はほとんど気にする必要なし…果実食を10年近く続けている中野瑞樹さんの血液データは正常です。一般に言われる果糖による高LDL-C、高中性脂肪、高γ-GTP、高HbA1c、そして高血圧など一切見られません

『フルーツから摂取する果糖はほとんど気にする必要なし』

結論からいうと、果糖の問題は、「食材から摂取した果糖」と「清涼飲料水のようなハダカの果糖」から得たものでは栄養学的意義がまったく異なると考えてください。

ハダカの果糖とは、食物繊維がほとんどなく、ビタミン・ミネラルなどが乏しい中で得られる果糖のことです。しかし、フルーツには食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富であり、精製果糖を直に受けることはありません。

スイスにおける果糖のヒト研究では、6~14歳の子ども達74人を対象に調査したところ、とても興味深い結果が得られました。子ども達を肥満体重グループと普通体重グループに分けたところ、肥満グループは普通グループよりも果実・野菜から得られる果糖の摂取量はかなり少なく、清涼飲料水やスナック菓子から得られた果糖の摂取量が多かったのです(Am J Clin Nutr. 2007 Oct;86(4):1174-8)。

実は普通グループと肥満グループとでは果糖の総摂取量はほぼ変わりませんでしたが、摂取した果糖の食材元が「果実・野菜」であるか、「清涼飲料水・お菓子」であるかで、大きく体脂肪や体重に影響を及ぼしたことが考えられます。

果実・野菜による果糖量(%) → 普通群 58.1 肥満群 41.9
お菓子や飲料水の果糖量(%) → 普通群 23.1 肥満群 40.0

これらは何を意味しているのかというと、果実を食べることは果糖による懸念よりも、果実に含まれる食物繊維やビタミンミネラルなどの恩恵の方が強いということです。

 
あらゆる基礎研究では、確かに果糖単体の高用量摂取はインスリン抵抗性や脂肪肝などを招いています。しかし、この場合、果糖が食物繊維やビタミン・ミネラルなどのほか栄養成分にくるまれていないハダカの状態であること、そしてハダカの果糖を大量に摂取した場合でしか有害ではなく、事実フルーツを食べることによって果糖を過剰摂取することはまず不可能です。(ここは事例をあげて細かく書きたいのですが長くなるので割愛します。詳しくは食品成分表で果糖量を見てみてください。)

果実食を10年近く続けている中野瑞樹さんの血液データは正常です。一般に言われる果糖による高LDL-C、高中性脂肪、高γ-GTP、高HbA1c、そして高血圧など一切見られません。(自分の身体を使って証明してくれる中野先生の何と素晴らしいこと!でもご本人もおっしゃっていますが、これは実験なので良い子のみなさんはこの極端な果実食を真似しないこと。)

フルーツをある程度食べれば満腹感が得られます。このとき、果糖を過剰摂取するまでもありません。しかし、清涼飲料水では一時的に水がお腹に溜まるだけで、満腹感は得られず、むしろ一時的低血糖により数時間後には食欲が増します。さらに、大量のハダカの果糖が流れ込んでいることは否めません。

そもそも、フルーツは大量の水分(80~90%前後)と食物繊維を含んでいて、きちんとした咀嚼が必要となります。このため、清涼飲料水などのハダカの果糖に比べて、多くのフルーツは食べてもゆるやかに消化され、ゆっくりと肝臓に到達していくのです。

ある研究では、9人の男性を対象に6ヶ月間の果実食(フルーツ82%、ナッツ18%)を実施したところ、被験者はかなりの体重を落とし、肥満の人は普通体重の人よりも多くの脂肪を落としました(S Afr Med J. 1971 Feb 20;45(8):191-5)。もし、俗説の「果糖は太る、果糖は脂肪を増やす」というのが正しいのなら、このような結果にはならないはずです。

フランスによる9件のコホート研究における大規模メタ分析では、毎日果物を食べている群では心臓病のリスクが7%減少することがわかっています(J Nutr. 2006 Oct;136(10):2588-93)。イギリスの大規模メタ分析でも、1日当たり300〜500g以上のフルーツと野菜を食べている群は、冠状動脈性心臓病リスクが17%も減少することを示しています(J Hum Hypertens. 2007 Sep;21(9):717-28)。ランセット誌でも、257,551人を対象に平均13年間追跡したコホート研究のメタ分析では、やはり1日当たり300〜500gのフルーツと野菜を食べている人は脳卒中リスクが低下することがわかりました(Lancet. 2006 Jan 28;367(9507):320-6)。

興味深いことに、フルーツなどから得られる食事性果糖は、とうもろこしデンプンなどよりも、ミネラルバランスを整えやすいということもわかっています(Am J Clin Nutr. 1989 Jun;49(6):1290-4)。

ただし、フルーツを避ける必要がある人も当然います。しかし、それは何かの治療中であったり、疾患によって制限がかかっているときであり、健常者にはむしろ意識して食べるのがよいと思われます。

以上、まとめると、食品成分表などでも確かめて欲しいのですが、フルーツに含まれる糖分は穀類などに比べてもかなり低く、果糖についても害をなすほどの摂取量に届くのはフルーツだけではまず不可能です。さらに、フルーツの果糖は清涼飲料水などと違い、食物繊維・ビタミン・ミネラルに包み込まれているイメージであり、フルーツによる抗酸化のような作用の恩恵の方がとても大きいのです。胃が空っぽの状態でフルーツを食べる習慣をしていけば、むしろ減量にも大きく貢献します。

今一度フルーツを俯瞰して、その恩恵を確認してみる必要があるのです。(ただし、何度も言うように、治療中で制限がかかっている人は食べないこと。これはフルーツに限りませんが。)

参照:https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1091343271046040&set=a.122416054605438&type=3&theater

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