肝機能と甘いもの・・・甘いものは肝機能を障害し、肝機能の低下がさらなる甘いものを欲するようになるという悪循環

肝機能と甘いもの

砂糖(シュクロース)は、ブドウ糖と果糖がくっついている二糖類です。生化学の教科書によると、ブドウ糖と果糖では代謝が違い、果糖は肝臓で速やかに脂肪酸(パルミチン酸)に合成されます。

果糖の代謝は血糖値とは関係なく優先的に行われ、またインスリンの影響も受けません。大量の砂糖の摂取は肝臓に脂肪の蓄積を起こします。肝臓に病的に脂質が蓄積すると、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)となり、さらに進行すると非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)となります。いわゆる脂肪肝ですね。

これがさらに進行すると肝硬変、肝細胞がん、肝不全となります。脂肪肝のうち、非アルコール性脂肪性肝疾患は、アルコール性脂肪性肝疾患よりも多く、特に小児の肝疾患のほとんどは非アルコール性脂肪性肝疾患で占められています。

体脂肪は、皮下脂肪と内臓脂肪とに分けることができます。皮下脂肪はその見た目とは裏腹に、心疾患や脳血管障害といった生活習慣病のリスク要因にはなりません。これに対し、内臓脂肪はその貯蔵レベルの増大が、心疾患や脳血管障害といった生活習慣病に直結しています。

内臓脂肪とは、肝臓に蓄積した脂肪や小腸や大腸の周りに蓄積する脂肪です。内臓のうち特に肝臓は、本来は脂肪を貯蔵するための臓器ではありません。このため内臓脂肪は異所性脂肪ともいいます。

本来脂肪の貯蔵のための臓器ではない肝臓に脂肪が蓄積すると、肝臓の本来の機能が損なわれてしまいます。また、肝臓には脂肪の量をコントロールする機能が備わっていません。これに対し皮下脂肪においては、脂肪細胞は脂肪の貯蔵量に応じてレプチンというホルモンを分泌し、レプチンは視床下部の摂食中枢を抑制することで食欲を抑え、脂肪の量をコントロールしています。

内臓脂肪はレプチンを分泌せず、脂肪の量をコントロールできません。そして甘いものを摂れば、果糖が肝臓に脂肪の蓄積を起こし、さらなる脂肪肝の増悪に繋がります。

肝臓は様々な機能を持っていますが、その機能の一つにグリコーゲンの貯蔵があります。グリコーゲンはブドウ糖の貯蔵形態であり、空腹時に血糖値が下がりすぎないよう、血糖値コントロールの主要な経路になっています。

ところが肝臓に脂肪が蓄積すると、肝臓でのグリコーゲン貯蔵量が減少してしまいます。このため血糖値が乱高下しやすくなり、特に血糖値が下がりすぎる病態である、低血糖を招きやすくなります。

低血糖になると脳は危機的状況であると判断し、すぐに血糖値が上がる、甘いものを強く欲します。そうして甘いものを摂ることで血糖値は上昇しますが、脂肪肝は悪化してしまいます。これはまるでアルコール依存症患者が迎え酒をするようなものですね。

さらには肝機能低下は肝臓での糖新生の機能も低下させます。タンパク質(糖原性アミノ酸)やグリセロールなどから糖新生を行うのは、60%が肝臓で40%が腎臓です。肝機能低下は糖新生の機能も抑制されるため、血糖値上昇ホルモンの過剰分泌を招きやすくなります。

というわけで、甘いものは肝機能を障害し、肝機能の低下がさらなる甘いものを欲するようになるという悪循環が起こるのです。そうなってから甘いものを断つのは至難の業ですから、そうなる前に甘いものは一切摂らないようにすべきなのです。

参照:https://www.facebook.com/shukaku.nagao/posts/2050536635024230

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