歯科の闇・・・日本の保険制度における異常に安い診療報酬では、まともな歯科医療を提供できるはずもありません

歯科の闇

初対面の人と話をして、「お仕事は何をされているんですか?」と聞かれ、「歯医者です」と答えるのに躊躇してしまうのは、僕だけではないでしょう。歯医者には良いイメージがあまりなく、「(悪い意味で)お金儲けしてそう」とか、男性なら「遊んでそう」とか思われがちです。

実際、歯科をテーマに取り上げた小説や漫画、テレビドラマなどはほとんどありません。医療系のテレビドラマはたくさんあるけど、歯科といえば「恋愛ニート〜忘れた恋のはじめ方(2012)」、「幸せになろうよ(2011)」、「夢で逢いましょう(2005)」、「パーフェクトラブ!(1999)」くらいです。しかもこれらも恋愛ドラマで、たまたま主人公が歯科医という設定だっただけ。歯科医療をテーマに描いた作品は皆無です。

まあ歯医者のイメージが悪くなったのは「夢で逢いましょう」の主人公が押尾学だったから、というわけでは無いでしょう。それ以前から、歯科は医療の一端を担う立場でありながら、医科とはまるで違うイメージを持たれていましたから。

僕が思うに、なぜ歯科に良いイメージが無いのかというと、単純に日本の歯科医療が地に落ちているから。日本人にとっては歯科はとても身近な医療機関であり、よくお世話になる半面、嫌な思いをしたりひどい目に遭ったりする確率が非常に高い医療機関でもあります。僕としてはとても残念ではありますが。

これは一般の人が持つイメージのみならず、歯科医療の現場で働く人にとっても同様に悪いイメージでしょう。歯科医師同士で集まって飲むと、必ずと言っていいほど歯科衛生士不足の話題になります。

歯科医院にとって歯科衛生士不足は全国的に大きな問題です。歯科衛生士学校が少ないとか、歯科医院の数に対し衛生士が少ないとかという問題ではありません。実際は歯科衛生士学校は学生を集めるのに苦労している状態です。

歯科衛生士の求人は多く、歯科衛生士にとって就職先に困るようなことはありません。ではなぜ歯科衛生士不足が起こるのか、それは高い離職率にあると思います。その高い離職率の背景に、日本の歯科医療の荒廃があることは想像に難くありません。

まあ現実問題として、日本の保険制度における異常に安い診療報酬では、まともな歯科医療を提供できるはずもありません。だから僕は自費専門になりましたし、自費専門になれないレベルの歯科医師たちが、嫌々ながら保険診療をやっているのが現実ですから。

日本の歯科医療には深い闇があり、そこには希望は無いように思われます。だから私立の歯科大学で定員割れが起こっているし、歯科医師の質は低下する一方です。そりゃ、ドラマの材料になんてなりっこないわな。

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