味噌の栄養価は種類によって異なる。大豆を茹でるか、蒸すか。豆麹か、米麹か、麦麹か。

味噌の栄養価は種類によって異なるという話

11月30日は、いい味噌の日です。味噌は人によって好みがあります。たいていの人は自分が好きな「味」で選ぶと思います。

今日は、栄養価で見た味噌の選び方をまとめてみます。

味噌は麹(こうじ)の種類によって、種類が分かれます。麦麹であれば麦味噌、米麹であれば米味噌、豆麹であれば豆味噌と呼ばれますね。

色で分ければ、発酵や熟成期間が長ければ色が濃い赤味噌で、短ければ白味噌になります。

興味深いことに、これらの種類によって、有益な栄養素の含有量が全く違うことが報告されています。

抗酸化作用があり、体内の過剰なエストロゲンを抑える「イソフラボン」の量は、豆味噌に最も多く含まれます。その量は麦味噌の約4倍、米味噌の約2倍のようです(静岡県環境衛生科学研究所,2014)。さらに、豆味噌に含まれるほとんどのイソフラボンが吸収しやすいアグリコン型で存在しているそうです。

味噌の色が、白っぽいもの、赤っぽいもの(濃い色)に分かれるのは、実は製法にも違いがあります。白っぽいものは、大豆を「茹でる」ことによってて作られますが、赤っぽいものは、大豆を「蒸す」ことによって作られます。茹でずに、蒸しあがった大豆は赤褐色となります。

茹でると、大豆に含まれる旨味や有益な栄養分が水に溶出されてしまいますが、蒸すと栄養分が外に逃げずに大豆の中に凝集されます。実際に、私が、とある味噌蔵を訪れたときに、そこの大将がとくに言っていたのは、大豆の「蒸し」が特に重要だということでした(それと麹づくり。)。

茹でた大豆では発酵してもなかなかメイラード反応が進まずず、白っぽい色になりますが、蒸した大豆であればメイラード反応は促進され、さらに熟成期間が長ければ長いほど色が濃くなり、赤っぽいものとなります。

メイラード反応によって生じるこの褐色色素はメラノイジンと呼ばれており、メラノイジンは、強力な抗酸化作用、活性酸素の消去活性、発がん物質への脱変異原活性があるということがわかっています。健康食品として人気の黒ニンニクもこのメラノイジンを多く含んでいます。

ラット実験では、メラノイジンが入ったエサを食べたラットの腸内では乳酸菌の数が数十倍に増えたという研究があります。さらにラットの腸粘膜の組織において再生能力が活性化していたことがわかっています。メラノイジンを含まないエサのラットは腸の細胞が古く、再生化が弱く、ひだが深くなってしまい、疲れているような状態だったのです。

また、放射線照射のマウス実験において、毎分4グレイのX線を照射して3.5日後に小腸を観察すると、0.1%の濃度でメラノイジンを含んだエサを食べたマウスは、普通食のエサのマウスよりも有意に小腸腺の再生が活発化されていたのです。

このように豆味噌、赤味噌にはメラノイジンが他の味噌よりも多く含まれていることがわかっています。

イソフラボンについても、当然蒸した方に多く含まれるため、豆味噌や赤味噌に多いわけです。

以上は、あくまで栄養の視点から見た味噌の特徴ですが、やはり大切なことは、どの味噌にしても習慣化していくことです。たとえ栄養価が高くとも、たまにでは効果がありませんし、それであれば自分の好みの味の味噌を選んで、続けていくことの方が大切なのです。

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