大豆の利点はさまざまありますが、なんといっても多く言われているのは高血圧の改善

味噌は高血圧を改善する

大豆の利点はさまざまありますが、なんといっても多く言われているのは高血圧の改善です。

たとえばラット実験では、同じ食塩量を摂取しても、味噌を食べていたグループとそうでないグループでは、血圧の差が10mmHgあり、味噌を食べていたグループでは高血圧を抑制していました(Nutrition 2012;28(9):924-931)。

味噌には血圧を下げる成分、そして腎臓から塩分を排出しやすくする成分が含まれています。

もともと、飢餓とともに生活をしていた数百万年前の私たちの祖先の体には塩分を体内にとどめておく仕組みが必要で、そこでレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系という、生体に塩分を保持し血圧をあげて生命を維持するシステムを発達させてきました。

しかし、飽食時代となり、とりわけ塩分過多となった現代の食生活では、むしろこのレニン系がかえって引き金となり、動脈硬化や腎障害を増強することとなったため、この仕組みを抑制しておくことがポイントとなります。

そして、味噌に含まれる「ニコチアナミン」という成分がこのレニン系の亢進を抑え、血圧を低下させることがわかっています。さらに、味噌には交感神経が高まるのを抑える成分があります。また、これとは逆に交感神経のドーパミンを介して腎臓から尿へナトリウムの排泄を高める働きもあります(Clin Exp Hypertens. 2014;36(5):359-66)。

今年(2017年)も味噌の研究報告がたくさんありましたが、中でも味噌の習慣摂取が自律神経を改善するという発表です。一般に、心拍数は自律神経の状態を表すマーカーと言われ、心拍数の増加は交感神経活動が有意になったときを示します。健康診断に来院した50〜81歳の計527人の被験者を対照にした調査では、味噌汁の摂取頻度が高い人は心拍数が低く、味噌汁の摂取頻度が低い人は心拍数が高い傾向にありました。味噌にはこのように交換神経を抑制する効果があります。ちなみに、味噌を多く飲むほど塩分摂取が多くなりますが、それでも血圧が高いということはありませんでした(Intern Med. 2017 Jan 1; 56(1): 23-29.)。

国や高血圧学会は減塩キャンペーンを繰り広げたために、味噌もその対象となってしまいました。しかし、食塩と血圧を考えるときに重要なことは、食塩量だけを見て判断することでなくは、総合的な栄養摂取から判断することです。野菜や大豆の習慣的な摂取は血圧を正常化させます。

日本国内の大規模調査では、味噌汁を1杯飲もうと3杯飲もうと、血圧の収縮期も拡張期もどちらも差はありませんでした。むしろ、たくさん飲むほど血圧は低下する(正常化する)という疫学結果もあります。

つまり、塩そのものを摂ることと、味噌からその塩と同量の分を摂ることは全く別の話になります。

味噌は高血圧を改善する可能性の高いもののひとつで、大事なことは少量でいいので習慣化することです。

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