精製糖を減らすと子どもの脂肪肝が改善…「複合炭水化物(穀物や果実などのホールフード)」と「精製糖質」では栄養学的意義や代謝が全く異なります

『精製糖を減らすと子どもの脂肪肝が改善された』という発表(米国)

カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部による最新のランダム化臨床試験の発表では、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患、要は脂肪肝)になった11〜16歳の男児40人に8週間、清涼飲料水やフルーツジュースに含まれている遊離糖食品を減らすと、子ども達に脂肪肝の有意な改善がもたらされたことがわかっています(JAMA. 2019;321(3):256-265)。

遊離糖(Free Sugars)とは、デンプンや多糖類のような高分子の糖質ではなく、飲料水やお菓子などに含まれる遊離した状態の低分子の糖のことを指します。要は精製糖のことで、たとえば砂糖、ブドウ糖、果糖です。

※遊離糖とは、あくまで加工食品に添加した糖のことであり、これらがすでに含まれている原材料のものはあてはまりません。たとえばフルーツそのものと、遊離した精製果糖は区別されています。しかし、フルーツジュースになると、食物繊維などが取り除かれているため、これは遊離糖の部類に入るわけです。

非アルコール性の脂肪肝の主な原因は、油(飽和脂肪酸やオメガ6)や精製糖の摂り過ぎです。この研究のポイントとなるのは、炭水化物そのものを減らしたのではなく、あえて遊離糖のみを除去したことです。

この臨床試験では、遊離糖を除外した子ども達のグループでは、対象グループと比べて、ALT値とコレステロール値の有意な減少が見られています。

さて、炭水化物と言っても、「複合炭水化物(穀物や果実などのホールフード)」と「精製糖質」では栄養学的意義や代謝が全く異なります。(個体にもよりますが)私は基本的に栄養バランスの中での炭水化物食を勧めています。しかし、以前から何度も言っていますが、勧めているのはは複合炭水化物のことで、砂糖や果糖ブドウ糖液糖のような遊離糖ではありません。

(※最近では、遊離糖を勧める人もいるようですが、それは全くの論外です。私たちの体は自分の細胞以外に、多くの細菌が共生しているということを忘れないでください。遊離糖は病原菌のエサとなるのです。)

また、欧米で炭水化物といえば多くが小麦食品や精製糖です。よって、欧米での低糖質というのは必然的に小麦フリーと精製糖フリーになります。そのため、欧米で低糖質食が治療に役立ったからと言って、お米や雑穀を主食としている日本で同じような低糖質食と言われても、意味が全然変わります。お米や雑穀までもフリーにする必要はなく、むしろきちんと食べるべきです。(治療のために制限されている人は別ですが)

食事療法の指導では、何を食べるかというのも大切ですが、その前に何を避けるべきかが優先されることが多くあります。これを優先することで、全てとは言いませんが、案外体質改善にたやすく貢献できることがあります。

子どもの肥満はまずは余計な脂質食を取り除くこと、そして遊離糖を避けることから始まります。

参照:https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1094865660693801&set=a.122416054605438&type=3&theater

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