最強の油・MCTオイルで病気知らずの体になる!: 認知症、糖尿病、うつ病予防 ダイエット効果も
宗田哲男 (著)
「最強の油・MCTオイルで病気知らずの体になる!」の書評
宗田先生の最新刊、「最強の油・MCTオイルで病気知らずの体になる!」を読了しましたので、書評を上げさせていただきます。
この本は、MCTオイルとはどのような油なのか、なぜ様々な効果が期待できるのかということが、詳しく、かつ分かりやすく書かれた本です。MCTオイルが注目されるようになったきっかけは、バレットプルーフ・ダイエット(邦題:シリコンバレー式、自分を変える最強の食事)で紹介されたことでした。MCTオイルは中鎖脂肪酸オイルであり、体内に吸収された後、効率的にエネルギーとなることで話題を集めました。
宗田先生は「『ケトン体』こそ人類史上、最強の薬である」という本も出版されている通り、日本においてケトン体の権威でもあります。ケトン体研究をリードしている半面、本業の産科も精力的にこなしている、まさにスーパーマン的存在です。
というわけで、この本ではMCTオイルが効率的にケトン体を生成し、ケトン体質になりやすいこと、ケトン体質こそ健康長寿のカギであることなど、ケトン体質になることのメリットなどが分かりやすく書かれています。最近注目されている「ケトジェニック」ダイエットの基本原理が分かりやすく説明されていますので、健康を気にする多くの人に読んでもらいたい本となっています。
MCT(中鎖脂肪酸)オイルは
健康長寿のために必須のオイルです最近話題のMCT(Medium Chain Triglyceride 中鎖脂肪酸)オイルは、ココナッツ(ココヤシ)やパームヤシ(アブラヤシ)の種子から作られる、構造が短く体内に入ると吸収されやすい中鎖脂肪酸100%のオイル。一言でいうなら、肝臓でケトン体(糖の代わりに、脂肪から作られるエネルギー)をすばやく作れるオイルです。
MCTオイルを摂るとき、糖質制限もセットで考えていただく必要があります。なぜなら、糖質を制限したときとしないときでは、体内で作られるエネルギーの回路がまるで違うからです。糖質を摂ると「解糖系」という糖質回路がまず働きます(糖質回路)。ところが糖質が制限されたときには、糖質の代わりに肝臓で脂肪からケトン体が作られます(ケトン体回路)。これらの回路はお互い拮抗しあうため、糖質を摂りすぎた状態では、ケトン体回路は働きません。
糖質をエネルギーにすればいいのではと思うかもしれませんが、過剰な糖質摂取はいろいろな弊害がでてきます。まず、血糖値コントロールがうまくいかず、糖尿病、肥満などの生活習慣病になるリスクがあります。一方、ケトン体回路では、脂肪をエネルギーとするので血糖値は上がりません。MCTオイルは、そのケトン体回路を作りやすくしてくれるすばらしい魔法のオイルなのです。
また、脳のエネルギー源はブドウ糖とよくいわれますが、年をとると吸収されにくくなり、結果、エネルギーが足りないために認知症の引き金にも。そのとき、糖の代わりに、エネルギー代謝を助けてくれるのが中鎖脂肪酸でできたMCTオイルです。脂肪から作られるエネルギーは、糖のエネルギーに比べてとても大きいので、持ちがいいというメリットもあります。
本書では、糖の摂りすぎがもたらす病気のメカニズムと、中鎖脂肪酸がそれらの病気の予防にいかに役立つかを解説しています。MCTオイルは40年前からてんかんの患者さんや、療養中の患者さんなどに医療現場で活用されてきたオイルですが、認知症が改善したり、がん、うつ、肥満予防にも効果があることが解明されつつあります。
これからますます馴染みのあるオイルとなると思いますが、本書でMCTオイルのよさを知り、健康長寿に役立ててほしいと思います。宗田/哲男
1947年千葉県生まれ。1965年北海道大学理学部地質学鉱物学科入学。卒業後は国際航業に入社、地質調査などに従事。その後医師を志し、1973年帝京大学医学部入学。卒業後は小豆沢病院、立川相互病院勤務を経て、1992年千葉県市原市に宗田マタニティクリニック開院。近年はFacebookグループ「糖質制限・ケトン体の奇跡」代表。糖尿病妊娠、妊娠糖尿病の糖質制限による管理で成果をあげている