コロナ禍の裏で原油価格大暴落、その原因と行方

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■人類史上最悪の世界大恐慌に突入
産油各国の、油価に関する固有の事情が分かりやすく説明されており、今後の油価の動向について根拠のある判断材料を示すものだ。
かつては、日本の官僚もメディアも、この程度の情報分析力は、基礎教養として、ありふれたものだったが、安倍政権登場後、いずれも著しく質が低下し、「なんで、こんな程度の低い連中が国を動かしているのか?」と驚愕するレベルに落ち込んでいた。

理由は、自分の栄誉ばかり求める安倍晋三が登場し、人事権を官邸が確保したことを前提に、政権への忖度ばかりで官僚たちが疲れ果てて、もはやコンプライアンスも正義も、まともな判断力も失ってしまい、前川喜平のような有能で頭脳明晰な人物が安倍官邸によって追放されることで、希望も意欲も失ってしまっているのだろう。

メディアは、上層部が安倍官邸に事実上、買収され、やはり政権への忖度記事しか書けないため、若手の有能な記者たちが絶望して、やる気をなくしているのだろう。
かくして、安倍政権登場後、気骨のある記者は片っ端から追放され、あらゆる行政とメディアが劣化の一途であり、見るべき記事もなくなってしまい、メディアから学ぶこともなくなっていたが、今回、久しぶりに有能な記事を見つけた。

この記事の指摘を、まとめてみよう。
 
現在、石油価格が下落している本質的な理由は、
①OPEC内部の、サウジとロシアの対立により、増産の歯止めが効かない状態であること。
② 新型コロナウイルス肺炎のパンデミックにより、各国が工業的生産活動を停滞させたことで、石油需要が大きく減衰したこと。

ロシアが、どうしてもOPECの減産基調に従えなかった本当の理由は、アメリカのシェールオイル産業潰しを目的としたものではない。
これ以上の減産を行えば、石油採掘活動の再開が物理的に困難になる事情があるからだ。
理由は、ロシア産原油に多量のワックス分が含まれ、これが流動性を失うと、パイプライン内部で固着し、ちょうど動脈硬化のような症状でパイプが詰まってしまうからだ。
ロシアのパイプラインは、一定量の原油通過による流動性を確保する必要があり、減産ができないのである。

ロシア経済は、油価に依存しており、油価が下がれば経済的余裕を失うため、当然、油価下落を阻止する減産交渉は必然であり、現在、サウジと齟齬が生じているが、これを早晩解決しないと、ロシア経済が破壊されてしまう。
したがって、ワックス分の固着を防げる送油量を確保できれば、減産に応じることができるため、この送油量を確保できる前提で、減産が実現する必然性があり、したがって原油価格も上昇してゆくことになる。

ロシアの油価は、バレル42ドル程度に設定されていて、これ以上下げることはできない。
アメリカのシェールオイル産業の採算点は、バレル40ドル程度なので、これ以下に油価が落ち込むと、産業基盤が崩壊し、大量のシェール産業倒産が発生する。
3月下旬の油価は、バレル30ドルを割り込み、20ドル台で推移している。これによって、アメリカのシェールオイル産業は風前の灯火であり、大規模な倒産連鎖が避けられなくなっている。

サウジアラビアも、石油代金が国家予算の7割を占めており、バレル55ドルを前提に予算計画を立てているため、これ以上の増産チキンレースをすれば、国家経済が崩壊する恐れがある。
いずれのベクトルも、再びOPECの減産交渉を支持する方向に向かっている。

しかし、問題がある。
アメリカのシェールオイル産業が、大規模な倒産連鎖を始めれば、当然、ドイツ銀行などが発行しているCDS・CLOなどレバレッジのかかった保険的証券への支払いが発生するが、この規模が巨大すぎて、発行元のドイツ銀などがデフォルトを起こす事態が避けられないことだ。
これによって、歴史的な規模での世界的な大恐慌、リーマンショックの100倍といわれる金融危機が発生する。

すると、石油を扱っている世界の企業群が、現物の石油を債務に充当することになり、世界的な原油安を劇的に加速する可能性がある。
こうした問題は、現在のところ、世界的にどのような影響をもたらすのか、計算不可能な規模になっていて、何が起きるのか、分かるものはいない。
考えられるのは、人類史上最悪の世界大恐慌に突入する必然性だけだ。

参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=355323

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