体温を維持しているのは腸内細菌であり、清潔志向が人間の体温を下げ続けている原因では?

人間の体温は19世紀以来下がり続けていることが判明した。体温を維持しているのは腸内細菌であり、昨今の清潔志向が腸内細菌を減らし、免疫機能の低下に加え、健康を維持し続けるのに最も重要な「体温」をも下げていることになる。
だとすると、健康を求めているのにも関わらず、体温を下げ続けているという矛盾に早く気が付かなければ、本当の健康を手に入れることはできない。

以下リンクより引用

■初めて行われた「人の平均体温の200年間の推移」の調査

アメリカのスタンフォード大学の医学研究者たちが、1800年代のアメリカ人たちの健康記録と、その後のアメリカ人たちの健康データを比較して、過去と現在の「平均体温を比較する」という研究が行われたことが紹介されていました。

そして、全体で 50万人分におよぶ膨大なデータの比較の中で、「 1800年代から現在まで、人々の標準体温は下がり続けている」ことがわかったのでした。

19世紀からは、男性で 0.59℃低くなっていて、その時から現在に至るまで、10年ごとに 0.03℃ずつ体温が下がり続けていることがわかったのでした。これはアメリカ人のデータですが、おそらく、主要国ではどこでも同じことが起きていると思われます。

まずは記事をご紹介します。

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■人間の体は数世紀にわたって着実に冷え続けていることを証拠が示した

この 1世紀以上、人間の体温の健康の目安は 37℃とされてきたが(※ 日本では 36.5℃)、この目安の体温は調整されるべきではないのかと疑われることがあったが、最近の新しい調査では、人間の体温に関して驚くべきことがわかった。

この 37℃という体温を基準としたのは、19世紀のドイツの医師カール・ブンダーリッヒ(1815年 – 1877年)だった。

しかし、米スタンフォード大学の医学研究者であるジュリー・パーソネット(Julie Parsonnet)博士は「現在の私たちの体温は、そのようなものとは言えない部分があります」と言う。

「今では、人間の平均体温が 37℃だということは間違いだとわかっています」

しかし、カール・ブンダーリッヒ博士が、19世紀に人々の平均体温が 37℃だと定めた際には、何万人もの人々から、文字通り何百万回もの体温の測定をおこなった。その結果から出された数値なのだ。それだけに、このブンダーリッヒ博士が定めた人間の体温の平均が 37℃だということが今でも基準となっている。

ただ、ブンダーリッヒ博士による体温の測定で使用された体温の測定装置が正しいものだったかどうかには疑問があった。何しろ、19世紀は、まだ体温の測定が始められたばかりの頃だったからだ。

そのこともあり、最近では、ブンダーリッヒ博士が定めた 37℃という標準体温に対して批判的な研究も出ており、それらは、「標準体温を下げるべきだ」と呼びかけている。

パーソネット博士と研究チームは、この 19世紀に定められた標準体温が現代と適合しない理由が、体温測定技術にあるのか、それとも、実際の人間の生理的変化を反映しているのかに興味を持った。

それを調べるために、研究チームは、アメリカ南北戦争(1861-1865年)後の約 2万4000人の北軍の退役軍人の医療記録を掘り下げ、今から 1世紀前のこの時期の人間の体温がどのようなものだったかを調査した。

そして、これらの 19世紀の体温の数値を、1970年代前半のアメリカ国民健康調査の約 1万5000件の記録と比較し、その後さらに、西暦 2000年代前半の米スタンフォード大学の臨床データの 15万件の記録と比較した。

合計で、チームは 50万を超える個別の体温測定の詳細を把握した。

その結果、年代の経過とともに明確で有意な差が見出された。

19世紀の終わりのアメリカ人たちの体温は今より少し高かったのだ。たとえば、西暦 2000年代に生まれた男性の体温の平均値は、1800年代前半に生まれた男性の平均より 0.59℃低かった。

そして、10年ごとに 0.03℃ずつ平均の体温が下がっていたことがわかったのだ。

この低下は、女性でも同様で、1890年代以降 0.32℃低下していた。

それぞれのグループの体温は、ほぼ同じ精度の体温計で測定されていたと仮定すると、南北戦争の退役軍人たちの記録は、その後の数十年にわたり、緩やかに体温が低下していく傾向を見せていた。

このような着実な体温の低下の傾向は、体温測定技術の精度によって現れた可能性は低いために、実際に私たちの体温は毎年下がり続けてきたと考えられる。

私たちの環境の何が体温を低下させ続けているのだろう。

~中略~

「人間の体温をコントロールしているのは腸内細菌である可能性」を示したものです。

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■腸内細菌叢は寒い中で体温を維持する役割を持つことが研究で判明

最近の研究で、腸内微生物叢は、低い気温の条件下において動物の体温を調節する上で重要な役割を果たしていることがわかった。

腸内微生物叢は、人間と動物の生理学と健康にさまざまな影響を及ぼすことがわかっているが、中国科学アカデミーの遺伝学および発生生物学研究所の研究者たちは、体温調節における動物の役割、すなわち動物が寒冷暴露に反応する方法(寒さの中での体の反応)の研究に焦点を合わせている。

動物は、褐色脂肪組織として知られる特殊な組織からの熱産生を活性化することにより、体温を維持している。

褐色脂肪組織の活性化における腸内細菌叢の機能を評価するために、研究者たちはマウスで実験を行い、マウスの腸内細菌叢を根絶するために異なる抗生物質処方を使用した。

研究者たちは、腸内細菌叢がなくなったマウスたちは、体温調節の機能に障害を起こしていることを発見した。彼らはまた、腸内微生物叢が抗生物質によって破壊されたマウスの場合、腸内細菌を補充することで、熱産生能力が部分的に回復することを発見した。

参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=352766

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