どれほど立派な憲法を戴こうとも、その運用が悪ければ意味がない

大日本帝国憲法は決して悪い憲法ではなかった。しかし、憲法は封建思想によって運用された。藩閥や軍閥は憲法が認めている人権や自由を法律によって奪い、議会もその先棒を担いだ。つまり、どれほど立派な憲法を戴こうとも、その運用が悪ければ意味がないのである。
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あの憲法が正当に行われて居るならば、決して今日の如き大屈辱には遭遇せぬはずであります、しかして今回制定せられんとするところの憲法は、彼に比すれば非常に優れたものである、優れれば優れる程、知識、道徳の尚ほ低い我が国人民におては、実行は困難であるといふことを覚悟しておかなければなりませぬ。
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行雄は選挙のやり方を変えよと主張する。旧来の選挙方法で議員を選べば、旧来どおりの議員が当選する。これでは新憲法の運用も旧来どおりのことでしかない。要するに行雄は金権選挙をやめろと訴えた。

「第一に、金をよけい使う候補者には、もうそれきりで投票を入れるなということを私は言うのであります。おのれの金すらもむだ使いする人間を、生命財産の監督者に選びますれば、人の金をもなおむだ使いすることは請合いであります。ゆえに選挙費を多少でも使う者は、議員たるの資格なきものと鑑定せよと、私は全国選挙民に告げるのであります。第二には、縁故情実、ことに職権等を濫用して、縁故情実をたどつて投票を集むるような者には、絶対に投票を入れるな。かくのごとき者は、やはり縁故情実によって、自分のためにはいかなる国家の損害でも顧みずやるという資格を具えている者でありますから、さような者には入れるな」

 天皇の詔勅を得て、政党を解散せよと行雄は訴えた。この驚くべき提案を含む行雄の決議案は賛成多数で可決された。なんと可決である。驚くべき議決であった。だが、さらに驚かねばならぬのは、可決されたこの決議案が全く実行されなかったことである。行雄は完全に失望した。

Base: 憲政の神様 尾崎行雄 – 占領下日本 – <https://ncode.syosetu.com/n8623ec/>

参照:https://www.facebook.com/photo.php?fbid=2723274904423218&set=a.193322607418473&type=3&theater

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