テフロンの調理器具が普及したことで、徐々に鉄分不足に陥る

通常、人の体内には、3~4gの鉄が存在します。その内70%は血液中で酸素を運ぶ役割をしているヘモグロビンに使用されています。あとの30%は貯蔵鉄として肝臓に蓄えられています。この時に鉄が不足するとヘモグロビンの量が減り、その結果体内に酸素が十分に行き渡らなくなります。この状態を「貧血」といいます。もちろん他にも貧血の原因はいくつもありますが、鉄欠乏症貧血が全体の50%を占め、一番多く見られるということです。

よく「鉄鍋は調理中に鉄が溶け出すから身体にいいんだ。」と言うことを聞くことがあります。これは本当のことなのでしょうか。

まず、1回の調理で約1.5mgの鉄が調理中に溶け出すそうです。1日の必要摂取量の12mgのうち、鉄鍋で調理するだけで4.5mgの鉄を摂取できます。鉄鍋だけではすべての必要量はまかなえませんが、不足分を補うには十分な効果があります。

また、鉄製品から摂取する鉄は、食物から摂取するよりもかなり吸収率がよいことが証明されています。これは4種類の素材から採った鉄分を、同じ量だけ餌にまぜ、貧血状態のマウスに4週間与え続けてその回復状態を調べたものです。ちなみに4種類の鉄分とは、鉄瓶、レバー、きなこ、ほうれん草よりのものです。

4週間後に鉄瓶からの鉄分を摂取したマウスの赤血球の数は、ほぼ100%回復しましたが、他の食品よりの鉄分を摂取したマウスの赤血球の数は、70%~80%にとどまっていたということです。 この結果は、鉄瓶から溶けだした鉄が、レバーなどよりも、吸収率が良いということを証明しています。

この理由として、鉄瓶から溶け出す鉄は、体に吸収される形そのままの、二価の鉄イオンの為ということです。食物中の鉄は、化合物になっていて、胃酸等により三価の鉄イオンとなり、その後にビタミンCに含まれるアスコルビン酸等の還元物質の働きによって、やっと体に吸収できる形になるためその分吸収率が悪いと言うことです。
鉄はビタミンCと一緒に取ると非常に吸収率が良くなります。レバーを食べるときには、一緒に野菜やレモンなども食べるようにすれば吸収が良くなるということです。

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