農薬成分はハチの集団活動を破壊する・・・ハチを瞬時に殺しはしないものの、その体に異変を及ぼす力をもっている

農薬が生態系に悪影響を及ぼしているという事は、いまや常識である。しかし、初期検査をパスした農薬の中に、中長期的な影響を及ぼしているものが多数あるという事実はあまり知られていないのでは。

 そのような農産物に端を発し、食物連鎖で濃縮された食料を口にしている人類への影響は計り知れない。人々の食料に対する安全安心意識はますます高まっていく。

リンクより引用します。

※※※以下、引用※※※

農薬成分の一部はハチの活動を阻害する──QRコードを用いた自動観察で見えた衝撃の事実

マルハナバチの背中にQRコードを貼り付け、農薬にも使われる殺虫剤の影響を自動観察システムで追跡する研究の結果が発表された。昼夜を問わずハチたちの動きを追跡したところ、衝撃的ともいえる生態系への長期的な影響が明らかになりつつある。

(中略)

「この薬剤は特に農薬として使われ始めたころ、初期検査をパスしました。『ハチたちが飛び交う畑に、この濃度で散布しても安全なのだろうか』という疑問は解決したはずだったのです」

しかし、この検査方法は必ずしも万全ではなかった。クロールは続ける。

「24時間あるいは48時間でハチが死ぬことはないでしょう。ところがさらに時間がたつと、ハチたちの行動に重大な変化が見られるようになり、長期的にはコロニーの機能と成長が害されてゆくのです」

一般的な殺虫剤であるイミダクロプリドのようなネオニコチノイド系薬剤は、ハチを瞬時に殺しはしないものの、その体に異変を及ぼす力をもっている。例えば、畑にまかれたネオニコチノイドのせいで、ハチの方向感覚や花を見つける能力が鈍ることが、これまでの研究でわかっている。

ハチは自らの、さらにはコロニー全体の食糧を調達しなければならない。だが、この薬剤はハチたちのそうした行動に深刻な影響を与える。

ネオニコチノイドを浴びたコロニーの内部で何が起きているのかを詳しく知ることは、これまで困難とされていた。クロールたちの研究チームが取り組んでいるのは、この問題だ。

24時間の自動観察でわかった衝撃の事実

彼らの研究室には、マルハナバチのコロニーを納めた透明なアクリル製ボックスが1ダース置かれている。これらをふたつのグループに分け、一方には畑に散布されるのと同じ濃度のイミダクロプリドを与え、もう一方のハチたちには与えなかった。ボックスを見下ろすように設置されたレールの上をロボットカメラが動き、各コロニーの様子を捉える。

(中略)

薬剤を浴びたコロニーとそうでないコロニーと間には明らかな違いが見られた。「薬剤を浴びたハチたちは動きが鈍く、じっとしている時間が長くなります」と、クロールは言う。巣の中心には世話を必要とする幼虫たちがいるのだが、「ハチたちはそこから少し離れたところで過ごすようになり、仲間同士の接触も減っていきます」

こうした行動の変化は夜間にさらに顕著になる。「昼間には問題なく機能しているように見えたコロニーが、一夜にして崩壊することもあるのです」

幼虫たちの世話をしなければならないときに、ハチたちの活動レヴェルが低下するのはとりわけ深刻な問題だ。健康なハチは活発に筋肉を振動させながら、自分の体の熱で幼虫たちを温める。クロールらの観察によると、イミダクロプリドを浴びたコロニーでは、正常なコロニーに比べて幼虫たちの体温維持がうまくいかず、幼虫の生育に大きな支障が生じる恐れがあるという。

「こうした殺虫化合物は、ほかにもさまざまなかたちでハチたちの成長に影響を及ぼしているかもしれません。わたしたちの観察結果がその一例に過ぎないとすれば、異なる環境や条件の下では、さらにひどいことになる可能性があります」と、クロールは言う。

(中略)

群れをつくらないハチの、さらなる打撃

子育て中のハチに起きた異変はこれだけではなかった。マルハナバチは通常、蜜ろうでブランケットのような覆いをつくって幼虫たちを温める。クロールの実験では、薬剤を浴びていないコロニーの大半でこの行動が見られた。

一方、イミダクロプリドを浴びたコロニーではこうした行動は皆無だった。「おそらくこのような直接的、短期的な行動を阻害するだけでなく、巣を構築する能力にも長期的な異変が生じ始めているはずです」と、クロールは語る。

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=341219

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