世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事

リンクより転載

■医師・栄養士、公的機関の「健康食」が信用できない理由

津川さんは本書の冒頭で、医学部では食事や栄養のカリキュラムを重視していないほか、栄養士に関しては「どうすれば健康になるか」という指導には長けているものの「なぜ健康になるか」という根拠に関しての専門知識は持っていない人が多いと指摘しています。

そのためテレビやネット、あるいは書籍などで専門的な資格を持っている人が「この食べ物は健康に良い・悪い」と言っていたとしても、それをそのまま鵜呑みにして健康になれるかは疑問だと言うのです。

また厚生労働省や農林水産省などの健康と食品に関連する省庁は、「日本人の食事摂取基準」や「食生活指針」などのガイドラインを公表していますが、これらも鵜呑みにすると健康を損なう可能性があります。

例えば農林水産省は、関連業界のロビイング活動により農家を保護するという立場にあります。

そのため農家の生産活動に支障が出るようなガイドラインは作成するのが難しいのかもしれないと津川さんは推測しています。

実際「白米」は、様々な科学的調査から1日2~3杯ですでに糖尿病のリスクが上がり始める可能性を指摘されているにも関わらず、農林水産省の「食事バランスガイド」では「ごはん(中盛り)だったら4杯程度」が推奨されているのです。

この一点においてすでに、省庁の情報を鵜呑みにする危険性の高さがわかります。

■「科学的に証明された究極の食事」とは?

津川さんの言う「科学的に証明された究極の食事」とは、強い科学的根拠を持ち、同時に今後大きく覆らないだろうと考えられる普遍性を備えた食事のことです。

確かに近年ネットやテレビ、書籍においても「最新の研究によって明らかになった○○」とか「科学的に証明された○○」といった情報は増えつつあります。しかしそれらは1つや2つの実験や調査を根拠にしている場合が多く、津川さんはこうした情報が「正しい情報」として広まっていることに危機感を抱いています。

なぜなら本来「科学的な検証によると、どうやら真実に近いらしい」と言うためには、科学的根拠の強い方法で検証されている必要があるからです。

この「科学的根拠の強い方法」とはすなわち、「メタアナリシス」と呼ばれる方法です。

●メタアナリシス
メタアナリシスとは複数の研究結果をとりまとめた研究方法を指します。例えば健康と食事の関係についての研究を、日本の関西地方の日本人を対象に行ったとします。

するとこの研究で出た結論は、特定の国、特定の地方、特定の人種にしか適用できないという可能性があります。

しかし対象の違う同じような健康と食事の関係についての研究を10個20個と集めていけば、この研究の結論はより普遍的なものだ=科学的根拠が強いといえるようになるのです。

そのため津川さんはメタアナリシスを「最強のエビデンス(科学的根拠)」としています。しかしだからといってメタアナリシスであれば何でもいいというわけではありません。

メタアナリシスの材料にする研究がデタラメなものばかりなら、メタアナリシスの結果もまたデタラメになるからです。情報の信頼性を見極めるには、どんな研究がメタアナリシスの材料になっているかも知っておく必要があります。

●ランダム化比較試験
メタアナリシスの材料として信頼性が高い研究方法が「ランダム化比較試験」です。

くじ引きのような手法で2つのグループが全く同じ条件になるように分け、一方には健康にいいと思われるものを摂取してもらい、もう一方には摂取しないでいてもらうという方法です。

手間とコストがかかるぶん、より正確に食品の健康への影響力を評価できます。

●観察研究
ランダム化比較試験よりも科学的根拠が弱いとされているのが「観察研究」です。

この方法ではある集団の食事に関するデータを集め、研究対象になる食品を多く摂取しているグループとあまり摂取していないグループに分けて分析を行います。

条件を全く同じにするランダム化比較試験に比べ、観察研究では「研究対象になる食品を食べている」ということ以外の生活習慣や運動習慣などが違う可能性を排除しきれません。

そのため健康への影響力の評価の信頼性が、どうしても劣ってしまうのです。

本書では「○○は健康に良い」「○○は健康に悪い」と言うとき、必ずと言っていいほどこの3つの研究方法のうちどの研究方法による結論なのかを明示しています。

そのためどの食事から優先的に自分の生活に取り入れるべきかがわかりやすくなっています。

本書の目的は、どのような食事をすれば脳卒中、心筋梗塞、がんなどの病気を減らし健康を維持したまま長生きできる確率を上げることができるかを説明することである。
引用:『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』p38

また何をもって健康に良い、悪いとするかについても、このように定義づけており、「究極の食事」で何を防止できて何を防止できないのかも明確にしてくれています。こうした津川さんの姿勢が、本書の内容の信頼性を高めていると言えるでしょう。

参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=353186

シェアする

フォローする