今度はワイロ疑惑…「カネとウソ」にまみれた東京五輪

20年東京五輪に、新たな醜聞だ。世界反ドーピング機関(WADA)の第三者委員会が14日に公表した報告書で、日本が20年五輪招致のために国際陸連の主催大会に400万~500万ドル(約4億7200万~5億9000万円)の協賛金を払っていたことが指摘された。

 昨年まで国際陸連のトップだったラミン・ディアク前会長は、ロシアのドーピング違反隠蔽に関与。昨年11月にフランスの司法当局に収賄の容疑などで逮捕されている。ディアク前会長はセネガル出身で、国際オリンピック委員会(IOC)の委員も経験している。アフリカのIOC委員に強い影響力を持っており、日本は協賛金を支払ったがゆえに五輪招致に成功したというのだ。

 肝心な具体名や「いつ、誰が支払ったか」などは明らかになっていないものの、事実ならば明らかなワイロだ。

 日本の関係者一同は、これを否定。遠藤五輪相は「(IOCからは)クリーンな活動が評価されたと思っていた。ないだろうと思う」と言えば、鈴木スポーツ庁長官は「我々はクリーンな招致活動を繰り広げてきた」と主張。昨年まで国際陸連理事を務めた田中克之日本陸連前理事は、「ディアク前会長はもともと東京シンパ。彼が『東京にしてほしい』と周囲に呼びかけたことはあるだろうが、買収はない」と言った。

 が、そんな子供だましの理屈が通るとでも思っているのか。五輪招致の裏で公にできない大金が動いていることは、過去の大会でも散々指摘されていた。日本も98年長野五輪ではIOC委員に多額のカネをバラまいたといわれている。

■「金銭の流れを公表すべき」

 スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏は「クリーンが聞いて呆れますよ」と、こう話す。

「それならば招致活動に使った金銭の流れを透明にして、世間に公表すべきでしょう。そもそも、13年の招致演説で安倍首相が福島第1原発の汚染水を『アンダーコントロール』と大嘘をついていますからね。どこがクリーンなのか。日本は150億円をかけて行った16年度の五輪招致に失敗しただけに、20年度は絶対に負けられないと必死になっていた。招致資金は前回の半分、75億円ですが、実際に動いた金額は本当にそれだけなのか。日本はアフリカのIOC委員の票集め対策として、ODA(政府開発援助)を利用しているともいわれています」

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は、日本・アフリカ連合(AU)議員連盟の前会長でもある。過去には「アフリカへのODAを増額すべきだ」と提案している。

 盗作エンブレムや新国立競技場建設に続き、ワイロという醜聞疑惑も噴出した20年東京五輪。口先だけで「クリーン」と言っても、誰も信じない。

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