ハムなどに使われる「発色剤」と躁病の関係
ジョンズホプキンス医大の発表(2018/7/18)によると「加工肉に添加される発色剤『硝酸塩』が気分が異常に高揚する『躁病』のリスクを上げる」という報告がされました。
7/18に行われた米国分子精神医学会で研究者らは、「躁病によって入院した患者らは、重度な精神障害の病歴のない人よりも、硝酸塩を添加された加工肉を食べていた割合が3.5倍もあった。」と報告しています。
これをうけて研究者らは、ラット実験における基礎研究でも、硝酸塩が添加されてあるビーフジャーキーを混ぜたエサを食べたグループは、数週間後に躁病のような多動性や活動性亢進があらわれたことを発表しています。この実験結果において重要だったところは、実はラットが毎日摂取した硝酸塩の量は、私たちヒトが1日1回に食べる量(軽食量)と同等の比率であったことです。
発色剤「硝酸塩」は、ハムやソーセージなどの加工肉の色が黒くならないようにするためであったり、臭みを消すためであったり、ボツリヌス菌の増殖を抑制するための防腐剤としての効果のために使用されていましたが、今までにいくつかの発がんや神経変性疾患と相関していたため、躁病などの気分状態の変化にも繋がる可能性があると疑われていたのです。
硝酸塩自体は、特に人体に有害なものではありませんが、体内で還元され亜硝酸塩に変化すると、 メトヘモグロビン血症や発がん性物質であるニトロソ化合物の生成につながる可能性があります。
もちろん、躁病の原因はさまざまですが、今回の研究を受けて、加工肉に含まれる硝酸塩が原因で発症している可能性は十分に考えられることがわかりました。
ハム、ソーセージ、ベーコン、サラミ、ジャーキーのような加工肉は確かに美味しいし、目の前にあればつい食べてしまうかもしれませんが、やはり仮に少ない量であっても常食は危険度が増します。これらはできるだけ避けるのがよいかと思われます。