安いニッポン(下) 「香港なら2倍稼げる」 人材流出 高まるリスク
「日本って給料安いんじゃない?」。昨春からジャスダック上場のソフトウエア開発会社で働く香港出身の楊燕茹さん。日本行きを相談した時の両親の心配そうな顔が忘れられない。米国でシステムエンジニアとして働く弟の給料は楊さんの4倍だ。
かつて新興国の人々が「出稼ぎ先」として憧れた日本。その地盤沈下はデータが物語る。
新興国は経済発展で報酬が伸びた面もあるが、先進国でも米国は119、ドイツは107に増えた。実額ベースではどうか。17年の報酬中央値は日本が約10万ドル(1090万円)。シンガポールや中国・北京より安く、タイも7割近い水準に迫る。
ーーーーーー
「安い日本人」は世界で人気だ。「日本にいるエンジニアに払う費用は、感覚的にはシリコンバレーの半分だ」。米カリフォルニア州にあるIT関連スタートアップ企業の経営者は、スキルや納期への意識も高い日本のエンジニアの採用を増やしている。半面、自動運転や人工知能(AI)など高度人材が必要な分野で日本が空洞化するリスクは日増しに強まる。
英系人材サービスのヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン(東京・港)によると、サイバーセキュリティーのコンサルタントの最高給与額(18年)は日本が1300万円なのに対し、香港は2480万円、シンガポールも1970万円だ。同社幹部は「日本から高いスキルを持った人材が流出する可能性がある」と指摘する。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO53248390S9A211C1MM8000/
ーーーーーー