大学生、6年間で3千人が自殺という異常社会

内閣府のデータから、大学生の自殺が6年間で約3000人であることが判明したとのこと。
試験勉強の弊害、大学という隔離空間の問題など、変わらない私権制度とめまぐるしく変わる社会状況との乖離が表面化していると言えます。同時に、家族からの叱責が大きな要因となっており、親の囲い込みも背景にあることは明らかです。

Business Journal「大学生、6年間で3千人が自殺!主因は将来展望への不安、家族による叱責は危険」より紹介です。

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 就職失敗や進路の悩みなど、将来展望に関する原因で自殺した大学生が、過去6年間(2009~14年)で1018人に上ることが内閣府のデータから判明した。自殺対策推進室が提供した詳細データを筆者が集計した。具体的な人数が明らかになるのは初めてとみられる。

 同期間に自殺した大学生は計2957人で、そのうちの34.2%が将来展望を理由に死亡していた。「学業不振」「進路の悩み」「就職失敗」の中から、ひとつ以上を原因に死亡した人数は1018人だった。自殺者数に関する資料には警察庁の自殺統計があるが、公表されているのは原因ごとの集計結果のみで、複数原因を組み合わせた集計はできず、実数は不明だった。

 このうち42人は「家族からの叱責」や「親子関係の不和」も原因になっていた。

 また、大学生の自殺者全体で、うつ病など精神疾患による死者は664人だったことも判明。大学生にとって将来への不安は、精神疾患を上回るリスクであることが明らかになった。

 内閣府自殺対策推進室の担当者は、このような詳細データを提供するのは「おそらく、これまでにない」と述べおり、民間で分析できるようになるは初めてとみられる。データは警察庁の自殺統計から内閣府が作成したという。

 提供されたデータは、自殺した大学生一人ひとりの原因の内訳。自殺者数と同じ2957行あり、性別、遺体の発見月とともに、原因がひとり3つまで記入されている。原因は「就職失敗」「進路に関する悩み」のように類型化されているため、集計が可能だ。

 データには「留年」という原因は存在しないが、将来を阻害するという性格上、将来展望に含めた。留年者の自殺は「学業不振」や「進路の悩み」に含まれているはずだ。

◆大学生の自殺原因とは

 まず、大学生の自殺原因の全体状況について、警察庁の資料を基にまとめておこう。

 09年から14年までの6年間で、50人以上が死亡した原因を抜き出したのが下の表だ。将来展望(■印)と精神疾患が上位に並んでいることがわかる。

原因……………………………………………個数
不詳……………………………………………766
学業不振………………………………………494■
進路に関する悩み……………………………424■
病気の悩み・影響(うつ病)………………405
就職失敗………………………………………210■
病気の悩み・影響(その他の精神疾患)…157
その他…………………………………………151
失恋……………………………………………126
学校問題その他………………………………124
病気の悩み・影響(統合失調症)……………83
学友との不和……………………………………73
交際をめぐる悩み………………………………66
病気の悩み(身体の病気)……………………60
孤独感……………………………………………57
親子関係の不和…………………………………57

 この15種類の原因による自殺者は実数2771人が該当し、全体の93.7%を占める。

 16位以下を含めたすべての数字を足すと3860人になり、実数2957人より多くなる。これは、ひとりにつき原因を3つまでつけられるため、警察庁の資料では合計すると実数より多くなる。

 ■印をつけた将来展望の原因も、上記の数字を足すと1128人になってしまう。内閣府の提供データを使って原因の重複を排除した結果、実数が1018人だと判明したわけだ。

(中略)

◆「家族からの叱責」は高リスク

 これを家族の側から見るとどうなるか。

 次の表では、「家族からの叱責」と「親子関係の不和」を軸に原因の組み合わせをまとめた。将来展望原因の位置と割合に注意してみてほしい。

・「家族からの叱責」はどの原因との組み合わせが多いか
学業不振……………………………………10人(21.74%)■
進路に関する悩み……………………………8人(17.39%)■
就職失敗………………………………………6人(13.04%)■
その他…………………………………………3人(6.52%)
親子関係の不和………………………………3人(6.52%)
経済・生活問題その他………………………3人(6.52%)
家族関係の不和………………………………2人(4.35%)
病気の悩み(うつ病)………………………2人(4.35%)

・「親子関係の不和」はどの原因との組み合わせが多いか
進路に関する悩み…………………………11人(19.30%)■
学業不振………………………………………7人(12.28%)■
病気の悩み・影響(その他の精神疾患)…6人(10.53%)
病気の悩み(うつ病)………………………5人(8.77%)
学友との不和…………………………………4人(7.02%)
家族からのしつけ・叱責……………………3人(5.26%)
病気の悩み・影響(うつ病)………………2人(3.51%)
就職失敗………………………………………2人(3.51%)■
その他…………………………………………2人(3.51%)
学校問題その他………………………………2人(3.51%)

「家族からの叱責」の半数以上(52.2%)が将来展望に関して行われていたことがわかる。「親子関係の不和」は将来展望にまつわる自殺のうち42.1%にとどまるが、いずれも将来展望との関係の強さは精神疾患以上だった。特に「叱責」の特異さが際立つ結果となった。

 将来への悩みを抱えた大学生に対して、叱責や不和を抑制できれば自殺防止につながる可能性がありそうだ。

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