元国税調査官が暴露・・・かんぽより酷い税務署の実態。「税務調査での追徴税のノルマ」の闇。

元国税調査官で作家の大村大次郎さんによる暴露シリーズ。

今回は、自身もかつて苦しめられたという「税務調査での追徴税のノルマ」の実態を暴露するとともに、実績稼ぎのため中小企業に対して重箱の隅をつつくかのような「せこい税務調査」を繰り返す一方で、富裕層にはあくまで甘い国税の姿勢を痛烈に批判しています。

リンクより転載します。
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■かんぽよりもひどい!税務署員のノルマ

最近、かんぽの無茶な販売ノルマが社会問題になりましたが、実は税務署でも昔からノルマが存在します。しかも、かんぽなどよりよほどひどいノルマです。

そのノルマというのは、税務調査での追徴税のノルマです。

これを一般の人に説明するには、ちょっと手間を要します。というのも、税務署というのは、一般社会では考えられないような異常な価値観があるからです。

まず税務調査というのは、どういう目的でおこなわれているかについて、説明しましょう。税務調査というのは、納税者の出した申告書に不審な点があるときに、それを確認するために行われる、というのが表向きの目的となっています。もちろん、それも税務調査の目的の一つではあります。

でも、税務調査の本当の目的はそうではありません。本当の目的は、「追徴税を稼ぐこと」です。実は税務署の調査官というのは、追徴税をどれだけ稼ぐかで、仕事が評価されます。だから、必然的に追徴税を取ることが目的とされるのです。

私が税務署員だったころは、各人の調査実績(追徴税の額など)を表にして、職員全員が回覧していました。よく保険の営業所などで、営業社員たちの契約獲得者数が棒グラフにされていたりしますが、あれと同じようなものです。だから税務調査というのは、「追徴税を稼ぐ」という方向で進められていると思った方がいいのです。

■ノルマに追われる調査官たち

税務署の仕事は「公平で円滑な税務行政を行う事」などという建前はあります。しかし、現場の人間が実際に求められるのは、前項でも述べたように「税金をどれだけ稼ぐか」ということなのです。税務調査に行って、課税漏れを見つけると、つまりは追徴で課税をします。この追徴税をどれだけとってくるかが、調査官の評価を決めるものでもあります。
もし追徴税が少ない場合は、上司に怒られたり、先輩に厳しく指導されたりします。自分の給料より、とってきた追徴税が少ない場合は、「給料泥棒」だとか「お前は国家に損失を与えている」などと言われたりもします。

追徴税の獲得は、個人個人に課せられているだけではなく、部門や税務署同士でも、競い合わされてもいます。税務署内では、各部門が追徴税の多寡で競争しています。また各税務署同士も追徴税の多寡で競争しています。そして、大きな追徴税を取った調査官たちは、「優秀事績」として発表され、表彰されます。

ここまでされれば、調査官たちは嫌でもノルマ達成、追徴税稼ぎに没頭しなければならなくなります。私が現場にいたのは十数年前なので、今は変わっているかもしれないとも思ったのですが、後輩の調査官に聞くと今も昔もまったく変わらないようです。

国税庁は、公式には「税務職員にはノルマなど課していない」と言っていますが、追徴税をたくさんとってきたものが出世しているという現実がありますから、事実上ノルマはあるといえるのです。

■調査官の「自爆営業」

このノルマが、どれほど厳しいものであるのか、わかりやすい例を示したいと思います。
10年前の話ではありますが、2008年5月に国税職員に関するこういうニュースが、新聞各紙で報じられました。広島国税局の若手調査官が、企業が脱税行為などをしたように装った文書を捏造(ねつぞう)し、必要のない課税をしたとして、虚偽公文書作成・行使の疑いで広島地検に書類送検されたのです。

そして広島国税局はこの調査官を即刻懲戒免職にしています。この調査官の行為とは、次のようなことです。

企業3社に税務調査に行いましたが、脱税(悪質な所得隠し)は見つかりませんでした。しかし脱税(悪質な所得隠し)があったように上司に報告、調査書を作成しました。悪質な所得隠しの場合、重加算税という罰金的な税金がかかります。この調査官は、通常の手続き通り、相手先には重加算税を求める通知書を送付しました。しかし、この送付書は、送付した直後に「誤送付だった」として自分で回収していました。そして偽の重加算税約33万円は自腹を切って納付していたのです。

公務員の給料はそれほど高いものではありませんので、30万円というのはけっこう大きいはずです。おそらく、この調査官の月給を超えていたはずです。それほど高い重加算税を、「自爆営業」したわけです。この調査官は、そうせざるを得ないほど追い込まれていたわけです。

これは、この調査官の個人的な問題ではありません。この手の事件は、国税では何度も繰り返し起きてきました。国税という組織は、不正などをもみ消す能力は非常に高いのですが、それでも、こうしてニュースで報じられるようなことが時々あるのです。

参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=351657

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