ファスティングと抗炎症・・・冬はインフルエンザやノロウイルスによる胃腸炎をはじめ、いろいろな感染症が流行りますが、A群連鎖球菌による咽頭炎や扁桃炎などの感染症も多い

ファスティングと抗炎症

冬はインフルエンザやノロウイルスによる胃腸炎をはじめ、いろいろな感染症が流行りますが、A群連鎖球菌による咽頭炎や扁桃炎などの感染症も多いですね。

実は、細胞によるオートファジー効果によって、侵入したA群連鎖球菌が死滅するという報告があります(大阪大学歯学部,Science. 2004)。

オートファジーとは、細胞が自身の不要になったタンパク質をリサイクルする自食作用で、新しいタンパク質を作ることです。もともと、侵入してきた細菌やウイルスから身を守るための行動が起源ともいわれています。そして、このオートファジーが最も活性化する状態が、飢餓の時です。つまり、絶食やファスティングをしているときになります。

悪玉菌やウイルスによる感染で怖いのは、細胞死よりも炎症の持続です。炎症はもともと外敵を倒すための作用ですが、慢性的に持続すると、周りの正常細胞まで火種が飛んでしまい、結果がん化や他の疾患にかかってしまうという恐れがあります。

こうした慢性炎症を食い止める方法の一つに、ファスティングや絶食が効果的なのです(もちろん、個体差や状況によって変わります)。

最近の研究では、腫瘍マウスの実験において、2週間のあいだ、隔日に絶食をさせたところ(インターミッテント・ファスティング、間欠的断食)、体重の減少を引き起こさず、腫瘍の成長を抑制することができたのです(Oncotarget. 2017 Aug 16;8(43):74649-74660.)。炎症反応により活性化されたマクロファージはM2マクロファージという型になり、腫瘍増殖を促す作用がありますが、絶食によってオートファジーが誘導され、この腫瘍関連マクロファージのM2型が抑制され、腫瘍増殖を阻害することがわかっています。

また、大腸炎においても、絶食は抗炎症効果をもたらし、結腸の上皮細胞の良好な回復をもたらしました(J Clin Biochem Nutr. 2017 Sep;61(2):100-107)。

さらに、絶食によって体内ではケトン体エネルギーが誘発され、これ自体に抗炎症効果や抗アレルギー効果があります。

炎症は栄養成分によっても抑えることができますが、このようにファスティングや絶食によってもオートファジー効果をもたらしたり、ケトン体を誘発することでも抗炎症作用があります。

※定期的なファスティング(断食)で体調を改善する人は多いですが、一方でまだファスティングするべきでない人が強行してしまうとかえって悪化してしまうこともあります。ここでは、あくまでファスティングが有効である人の場合をイメージして読んでいただくと幸いです。

参照:https://www.facebook.com/photo.php?fbid=832430956937274&set=a.122416054605438&type=3&theater

シェアする

フォローする