心身の健康は血液から。目指すはサラサラよりタップリ

心身の健康は血液から。目指すはサラサラよりタップリ

全ての不調は血液からといわれている。
脳は1分間に700mlの血液が必要とも言われている。
そのためのポイントは①血液の作る量②血液の流れる速さ③血液の流れる量の三点。自分の血液の状態はどうなっている?

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■血流が悪い=血液ドロドロではない

――著書では「血流たっぷり」になるだけで、体の不調も心の悩みもすべて解決すると言い切っていたのに驚きましたが、血流たっぷりとはどういうことでしょうか?

「血流」とは、心臓から出た血液が全身の血管を巡り、また心臓へ戻る流れのことです。全身を流れる血液は、「水分を保つ」「酸素や栄養を運ぶ」「老廃物や二酸化炭素を回収する」「体温を維持する」「体を守る(免疫力)」といった働きをしています。「血流たっぷり」にするとは、これらの働きをしっかりとできるようにするということです。

漢方でいう「血流」は、血液もホルモンも栄養もエネルギーも含んだものです。全身の細胞に栄養や酸素、エネルギーまで含めていろいろなものを運んでいる血流が不足すると、体は機能を果たせなくなります。ですから、漢方で「血流を良くする」というのは、血の質を良くするという意味も含んでいます。

血流は、全身のすべての細胞に酸素や栄養を届けているうえ、脳やホルモンを通じて心の活動をも支えています。だからこそ、血流を改善するだけで、体の不調も心の悩みも解決に向かうのです。

――血流を良くするというと、多くの人が「血液サラサラ」をめざしますが、これは必ずしも正しくないのでしょうか?

「血流が悪い」というと、「血液ドロドロ」と勘違いする人が多いのですが、「血流が悪い=血液ドロドロ」ではありません。確かに糖尿病や心筋梗塞、高脂血症などの生活習慣病を持っている人はドロドロで、そういう人は血液をサラサラにすることが有効ですが、ドロドロうんぬんという以前に、血そのものが不足していて流れないという人も多いのです。

血が足りない人が血液サラサラ健康法をがんばると、足りない血流をスカスカの状態で無理やり全身に巡らせることになり、強制的に立ちくらみを起こし続けているようなもの。ふらふらとめまいがしたり、体調を崩したりします。

――血が足りない人が多いということですが、血流が悪くなる原因は何なのでしょうか?

血流が悪くなる理由は、血が「つくれない」「足りない」「流れない」の3つで、この順番でドミノ式に起こります。つまり、血をつくれないから、血の量が足りなくなり、足りないために流れも悪くなるのです。漢方ではそれぞれを次のような体質と考えます。

(1)血がつくれない(気虚)
=胃腸が弱く、血液の原料となる栄養を十分に吸収できないため血をつくりだせない。疲れやすく、やる気が出ない。

(2)血が足りない(血虚)
=血はつくれたとしても生理、出産、授乳などで失う量も多く、血の量が不足。婦人科系のトラブルが多く、心の状態としては不安感が強い。

(3)血が流れない(気滞・お血)
=血がつくれないか足りない、あるいは足りていてもストレスなどの影響で巡りが悪くなっている。肩こり、腰痛、生理痛、頭痛など。イライラ、ストレス過敏。

通常、一人の人が複数の体質を持っていますが、女性は毎月の月経で年間1kg以上の血を失うこともあり、圧倒的に(2)の「血が足りない(血虚)」が多いです。

男性の場合は、夕食を多く食べて、お酒も飲む人が多いので、血の量が少なくなるというよりは、質が悪くなりやすいといえるでしょう。また、血を流すエネルギー(気)がつくれない人が多く、そのため(3)「血が流れない」が多いようです。

特にお酒を飲んで下痢をする人は胃腸が弱く気をつくるのが苦手ですが、自分では胃腸が弱いことに気づいていない人もいます。漢方では、気をつくるのは血と同じく胃腸のはたらき(脾〔ひ〕の力)によります。脾は高温多湿の環境を嫌うので、日本人はもともと胃腸が弱い人が多く、それは伝統薬に胃腸薬が多いことからもわかります。

このように生まれながらにして日本人の多くは消化をして血や気をつくることができない体質なので、働き盛りの男性で、気力がでない、モチベーションが上がらないという場合は、胃腸から見直されると、よくなりやすいかもしれません。

■舌を見ればわかる! 血流の状態

――血流が不足しているかどうか、自分で見極める方法はありますか?

漢方で行われる「舌診」がわかりやすいです。舌をべろっと出したときに小刻みに震えたり、色が淡いのは血が足りない(血虚)人の特徴です。また、真ん中にへこんだ線が入るのは血がつくれない、足りない(気虚・血虚)の両方です。血流が良くなってくると線も浅くなるので、ときどきチェックするとよいと思います。さらに、流れが悪い人(お血)は舌の裏側にぼこぼこと2本の静脈が浮き上がります。

「舌苔(ぜったい)」といって、表面に白いコケのようなものが少しだけあるのが健康な状態ですが、べたっとたくさん付いている場合は、不要なものをため込んでいる証拠です。血が汚れて質が悪くなりやすく、メタボの人に多いです。

■血流を良くするには「1週間夕食断食」

――では、血流を良くするために、日常生活でどうすればよいでしょうか?

短期的に胃腸を元気にして血流を良くする方法として、私がおすすめしているのが「1週間夕食断食」です。現代生活は、胃腸に対する負担が過剰な場合が多いので、疲れたときに夕食を抜くと朝が楽になります。

食べたものは消化されて栄養として吸収されると、肝臓に運ばれます。本来、漢方では夜は肝を休めるときなのですが、就寝前に夕食をたくさん食べると、肝が休まらずに栄養の処理をさせられ、機能がおかしくなってきます。西洋医学的にも肝臓は人体で一番血を蓄えている臓器ですし、漢方でも血を蔵するところです。そこが過労状態になると、血の質が悪くなり、血を流す力も低下してきます。ですから夕食断食をすると、胃腸や肝臓が休まることで、消化吸収のはたらきが高まり、血流を良くすることができるのです。

参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=350691

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