『赤身肉・加工肉ががんや心臓病のリスクの増加とは関係がない』という発表の裏・・・実は食品産業と繋がりを持っていたため、利益相反などの開示について厳しく追及。

『赤身肉・加工肉ががんや心臓病のリスクの増加とは関係がない』という発表の裏

すでにご存じの方もいるとは思いますが、先日、赤身肉・加工肉ががんや心臓病のリスクの増加とは関係がないという報告がありました。(Ann Intern Med. 2019 Oct 1. doi: 10.7326/M19-1621)

この新しい研究は、約54,000人を対象とした12のランダム化試験を分析後、赤身肉・加工肉の肉食が、心臓病、糖尿病、癌のそれぞれリスクに影響がないということを発表したものです。

しかし、今までいくつものこうした研究は、たいてい、赤身肉や加工肉の摂取が増えるほど、がん、心疾患、糖尿病と相関があっただけに、今回のこの新しい研究の発表は衝撃的なものでした。実際に、世界中で大々的にニュースとなっています。

ところが、その後、今回の論文のメインの著者の1人、ブラッドリーC.ジョンストン博士は、実は食品産業と繋がりを持っていたため、利益相反などの開示について厳しくニューヨークタイムズ紙が追求しています。(下記リンク参照)

https://www.nytimes.com/2019/10/04/well/eat/scientist-who-discredited-meat-guidelines-didnt-report-past-food-industry-ties.html

というのは、ブラッドリーC.ジョンストン博士は過去に、400以上の食品産業や製薬会社、そして農業関連産業などによってサポートされているILSI(国際生命科学研究所)という業界の機関から資金提供を受け、「砂糖の消費が、あらゆる慢性疾患に結びつく証拠や相関性は低い」というような論文を発表しています。(Ann Intern Med. 2017 Feb 21;166(4):257-267)

そのILSIのメンバーには、マクドナルド、コカコーラ、ペプシコ、カーギルなど、いわゆる多国籍企業の名ばかりが連なっています。(下記リンク参照)
https://ilsi.org/wp-content/uploads/2016/01/Members.pdf

ちなみに、NY TImes誌の取材では、ジョンストン博士は赤身肉や加工肉を週に1~2回しか食べないそう。

本来なら、資金提供や利益相反(COI)の開示をするべきですが、ジョンストン博士はILSIからの資金提供は2015年であり、今回の肉食の研究における開示では、3年経っているため、それを報告する必要はない(開示する必要はない)と答えているそうです。

今回の研究報告は海外では物議をかもしており、healthlineのサイトでも疑問を呈しています。
https://www.healthline.com/health-news/red-meat-may-not-hurt-your-heart-researchers-find

さらに、問題なのが、こういう裏話を無視して、今回のこの論文を引用して、ほら赤身肉と加工肉は大丈夫でしょ!とここ日本でも推奨している人がいることです。

ちなみに、私自身は、加工肉は避けるべき食品としており、赤身肉については(栄養状態や人にもよるが)週に数回程度が望ましいと考えています。

いずれにしても、過去の膨大な研究報告を見ても、たいていネガティブな結果が多いのが事実です。よって、慎重な判断をするのが賢明かもしれません。

参照:https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1289180224595676&set=a.122416054605438&type=3&theater

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