対策遅い「災害大国」・・・借金ばかり心配する財務省、国民の命を守るための公共投資増やせ!国民の怒りの声相次ぐ

【ニュースの核心】

 日本列島を襲った台風19号で各地に大きな被害が出た。死者、行方不明者の関係者はもとより、多くの被災者のみなさまに心からお見舞いを申し上げる。

それにしても、「日本は災害大国」だと、つくづく思う。地震や大雨、さらには台風と「大きな災害に襲われなかった年はない」と言ってもいいほどだ。調べてみたら、日本の国土は世界の0・28%なのに、災害の被害金額は11・9%もあるそうだ(2010年度防災白書)。つまり、国土に比べて、42倍以上も災害の被害が大きい。

 そうだとすると、政府も政治家ももっと災害対策に熱心になるべきだ。残念ながら、現実は「喉元過ぎれば、熱さを忘れる」のようだ。

 例えば、電柱対策である。千葉県をはじめ各地で電柱が倒れて、大規模停電が発生した。電柱がこれほど台風に弱いと分かった以上、電柱地中化は急務になった。

 国土交通省の資料によれば、ロンドンやパリ、香港は100%の無電柱化が実現しているのに、日本は東京23区で7%、大阪市で5%にすぎない。「コストが高い」と言われるが、実は、日本の地中化仕様は欧州に比べて大掛かりなようだ。規格を見直すなどして低コスト化できないのか。政府と電力事業者はよく検討してほしい。

 今回の台風では、河川の氾濫が相次いだ。これほどの被害が出たのは、記録的な大雨が、以前と比べて激増している事情もある。豪雨は増えているのに、堤防やダムの整備が遅れているのだ。根本的には予算の問題だろう。

 財務省は口を開けば「赤字削減」を唱える。だが、建設国債で河川対策費用を賄えば、借金が増えたとしても、同時に河川の価値も高まる。国のバランスシートで見れば、資産と負債が両建てで増えるだけだ。負債から資産を引いた純債務は変わらない。借金の大きさだけを問題にする財務省の理屈が、そもそも間違っているのである。

 別の言い方をすれば、いくら政府の借金が増えようと、それで治水対策が進んで、国民が災害から免れるなら、結構な話ではないか。政府の仕事は「国民の命と暮らしを守る」ことだ。それができないのに、借金を心配するのは本末転倒である。

 折から臨時国会が開かれている。政府は大型補正予算を組んで、無電柱化の推進はじめ、抜本的な災害対策を進めるべきだ。米中対立の激化など世界経済の行方が不透明になるなか、災害対策は景気対策にもなる。まさに一石二鳥ではないか。

 国民の側にも心配な点はある。東京では多摩川が氾濫したが、地元住民が堤防建設の反対運動を展開していたという。「防災より景観を守れ」という趣旨らしい。場所は違うが、同じ多摩川の氾濫でマンションが水没し、死者も出たとなると、そうも言っていられないだろう。

 公共事業に住民の同意を得るのは大事な手続きだが、国には管理者責任もある。政府は住民の理解を得る取り組みも強化する必要がある。

参照:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191019-00000016-ykf-soci

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