ビタミンDは「乳がん」と「大腸(結腸)がん」に対して特に薬効性があります。近年、日本人に乳がんや大腸がんが増え続けている中、ビタミンDは予防の観点においても治療としても必須となるでしょう。ビタミンDは抗腫瘍効果、がん細胞へのアポトーシス(=自殺死)効果、がん転移や増殖への阻害効果があります。

太陽を浴びることで得られるビタミンDですが、乳がん、大腸がんに効くとのこと。

近年は、過度に日光に当たることを避けている感じですが、食以外でも健康を害する要因の一つがこれに当たるでしょう。

乳がんとビタミンD

ビタミンDは「乳がん」と「大腸(結腸)がん」に対して特に薬効性があります。近年、日本人に乳がんや大腸がんが増え続けている中、ビタミンDは予防の観点においても治療としても必須となるでしょう。ビタミンDは抗腫瘍効果、がん細胞へのアポトーシス(=自殺死)効果、がん転移や増殖への阻害効果があります。

以前から何度もビタミンDとがんの関係については書いてきましたので、詳しくは割愛しますが、現在は特に転移性がんとの関連が注目されています。

※「転移性乳がんとビタミンD」についての記事はこちら。
https://goo.gl/2xLf6r

一般的な栄養学の教科書に記述されているビタミンDの内容を見ると、その働きや効能の内容はまさに薄っぺらといえます。例えばその働きとしてカルシウム吸収や免疫機構ばかり書かれていますが、抗がん・抗腫瘍作用についてはほとんど書かれていません。また、その代謝については、腎臓で活性型ビタミンDへの代謝が行われているという古い情報のままで、腎臓以外の各組織(たとえば前立腺、乳房、結腸、表皮のケラチノサイト、マクロファージなど)でも代謝されることなど全く記述されていません。国民のさらなる意識や臨床現場への応用を考えれば、さらなる修正や追記を早急にすべきであると私は思っています。

ビタミンD(以下、VD)が充足しているかを評価するには、日々の摂取量よりも、一般に血清濃度をみます。血中のカルシジオール25(OH)D濃度は、「日光浴で合成したVD量」と「食事から摂取したVD」の合計量と考えてよいです。ただし、血清カルシジオール濃度は、あくまで血中の濃度であり、それ以外に蓄えられたVDの総量を示しているわけではありません。しかし、くどいようですが、指標にはなります。

ロンドン大学・セントジョージ医学校の研究では、白人女性34~84歳の患者群179人と対照群179人の調査において、血清VD濃度と乳がんの発生率を調べたところ、VD濃度が低い群(20ng/ml以下)は高い群(60ng/ml以上)に比べて、乳がん発症のリスクが5倍以上も高かったことが報告されています。(Eur J Cancer. 2005 May;41(8):1164-9. Epub 2005 Apr 14)

マサチューセッツ大学公衆衛生局による大規模調査では、43歳から69歳までの女性32,826人を7年間追跡調査し、血清カルシジオール濃度(以下、VD濃度)と乳がんの関係を調べたところ、VD濃度が高い群は低い群に比べ、乳がんのリスクが有意に低下していました(Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2005 Aug;14(8):1991-7)。

ハーバード大学医学部のコホート研究では、45歳以上の閉経前の女性10,578人において、乳がん発症率とVD摂取量の関係を10年間追跡調査で調べたところ、摂取量が548IU以上の群は、162IU未満の群に比べて乳がんリスクが35%低いことが報告されています(Arch Intern Med. 2007 May 28;167(10):1050-9)。ただし、閉経後女性20,909人の調査ではこのような差は認めらていません。この解釈としては、閉経後の女性はエストロゲンやIGF-1の血中濃度が閉経前の女性と比べると圧倒的に低いため、ビタミンDによるこれらのホルモン過剰の抑制効果が得られないからです。若い女性の方がエストロゲンやIGF-1が高いため、VD摂取(または合成)で抑制効果が顕著にあらわれるからです。

カリフォルニア大学サンディエゴ校のプールド分析による研究では、血清VD濃度が高い群(平均48ng/ml)は低い群(平均6ng/ml)に比べて、乳がんの発症リスクが50%も低いことが報告されています。この高い群の血清レベルは、ビタミンD摂取量(または合成量)の4000IU /日に相当するとしています。ちなみに、血清VD濃度52ng/mlは「2000IU /日の摂取」+「約12分/日の日光浴」で維持されるとし、経口摂取のみであれば3000IUのビタミンDに相当するとしています(J Steroid Biochem Mol Biol. 2007 Mar;103(3-5):708-11.)。ちなみに、これは、今まで私が何度も参照&引用してきた、ゴーハム博士とガーランド博士による報告です。

そして、これらとは反対に、VD摂取と乳がん発症に相関関係はないとされる報告もいくつかあります。しかし、このほとんどが、VD摂取量が約400IU/日という低い量によるものです。たとえサプリメントでもこのような低い量では、仮にカルシウム調整機構や免疫機構が正常になっても、到底、抗がん作用は発揮しないということを覚えておいてほしいと思います。

ビタミンDの日常的な摂取(または合成)は、特に若い女性には必須であり、乳がんや結腸がんに対して特異的に予防効果があります。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=756570444523326&set=a.122416054605438.20617.100005111323056&type=3&theater

シェアする

フォローする