下水処理場から淡水に流れ出るマイクロプラスチックの6割が洗濯用糸くず(合成繊維)であることが判明

衣・食・住。
我々の生活をとりまくあらゆる領域に化学物質が浸透していることに気づかされる。

以下、カラパイアより。
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 マイクロプラスチックの発生源と疑われているものは複数存在するが、過去の研究発表では、水道水の多くに微小な合成繊維(マイクロファイバー)が含まれていることが確認されており、洗濯からの糸くずが汚染源になっていると示唆されていた。

 今回、それを裏付ける調査結果が『American Scientist』で発表された。

 アメリカのペンシルベニア州立大学のプラスチック汚染の専門家であり、化学者のシェリー・メイソン博士が行った新しい調査によると、廃水処理場から淡水へ流れ出るマイクロプラスチックの60%は洗濯用糸くず(合成繊維)であることがわかった。

■マイクロプラスチックは排水処理場を通過する

 各家庭では、衣類やシーツ、タオルなど様々な繊維を一度に洗濯する。すると、一般に合成繊維(マイクロファイバー)と呼ばれる小さな糸が洗い流され、それらは下水を流れて廃水処理場にたどりつき、その後淡水へと流れ込む。

今回研究チームは、集合的にマイクロプラスチックを構成するマイクロビーズやマイクロファイバーが五大湖や池の淡水システムをどのように移動していくのかを理解するために、マイクロプラスチックが廃水処理場でどれほど除去されるのかを確認する調査を行った。

 アメリカ全土の17の異なる施設から採取した90個のサンプルを収集して分析した結果、マイクロプラスチックは廃水処理場を通過していることが判明した。

 平均すると、各廃水処理施設は毎日400万個以上のマイクロプラスチックをアメリカの水路に放出しているという。

 アメリカには15000棟ほどの廃水処理施設が継続的に稼働しているが、数十億個のマイクロプラスチック粒子が、各家庭の廃水から淡水に流れ込んでいることになる。

■環境保護のために早急な措置が必要
 
 淡水に流れ込んだマイクロプラスチックは、廃水処理場をすり抜け、川や海へ流れ込んでいく。結果として海洋汚染の大きな原因となる。

 今回研究者らは、廃水処理場を通過したマイクロプラスチックはマイクロビーズよりもはるかに多い数のマイクロファイバーであったことを確認しており、その確率にも衝撃を受けたようだ。

しかし現実として、衣類業界は布地の生産をかなり高い割合で合成繊維(ファイバー状プラスチック)に頼っている。

 長年にわたり、従来の天然素材の欠点を補う形で様々な種類の布地に使用されてきたこのプラスチック繊維は、今や天然素材の生産量をはるかに超えているそうだ。

 そのため、アクリルなどの合成繊維やフリース素材を毎日洗濯する家庭は、アメリカに限らず世界的に見ても決して少なくはないだろう。

 しかし今回の結果で、研究者らはそれを見直す必要があると説いている。

 天然素材も洗浄中に繊維を排出するが、微生物はそれらを分解する方法を持っている。一方で、マイクロプラスチック繊維は生分解性ではないために、劣化するのに何世紀もかかるとも言われ、蓄積していくのみだからだ。

 既にヨーロッパでは、マイクロプラスチックが出ないフリースなどを開発・販売している国もあるが、遅かれ早かれ世界的規模でこうした取り組みが求められることになるだろう。
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参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=350033

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