カロリーベースで日本の食糧自給率は39%、先進国ではズバ抜けて低い数値のカラクリ

・食料自給率がカロリーベースでは、カナダが258%、オーストラリアが205%、米国が127%となり、日本は韓国の41%より低い39%と、農水省は算出した。戦後一貫として、日本は資源が乏しいから工業製品の輸出に励むしかないと学校では刷り込まれ、近年ではグローバリズム主導の金融政策の金縛りに喘ぎ、日本バブルとその破綻の災禍に見舞われた。農林水産業がおざなりにされてきたのである。
日本は食料自給率が先進国では極端に低いことを根拠に、補助金農政に組み込まれ日本農業は衰弱してきた。要は戦後一貫として、米国の過剰農産物のはけ口にされてきました。
・カロリーベースの自給率には大きなからくりがある。これを生産額ベースで算出すれば日本の自給率は70%となる。例えば、牛肉の国内消費量に対して生産額では43%だが、カロリーベースでは11%に落ちる。生産額でほぼ100%の鶏卵はカロリーベースではたったの9%となる。つまり米国の穀物メジャーに支配された家畜飼料まで遡ると、カロリーベースの自給率は極端に下がってしまう。
そしてこの算出法では、食品廃棄量(2000万トン/年)が計算の分母に加算される。食品廃棄物がゼロとするだけで、カロリーベースでも自給率は39%⇒60%に跳ね上がるらしい。米国穀物メジャー支配を脱して、飽食や食品流通を改善するだけで、このカラクリ数値は跳ね上がってしまう。
・「先進国ではずば抜けて食料自給率が低い」と日本農業の弱体さを強調するが、この誤った観念支配は農民を食い物にする農水省の補助金支配政策と対米従順外交には好都合らしい。しかし、戦前までの日本は、地政的にも恵まれた農水産業が国民総生産の8割を占めており、縄文体質からくる自然志向や農業生産者の技術力や勤勉性は世界に抜きんでたレベルだ。
・食料自給率の低落はひとえに農政の無策、外圧米国に対する無策にある。要は計算式と数値のからくりで国民の観念支配を狙ったり、対米弱腰交渉のツケを国民と国家財政に押し付けているだけではないか。
実直な政策で農漁業生産の基盤再建を目指すべきだ。例えば都市の若者を巻き込んだ就農定住化事業や就学就農定住化など、農林漁業の生産基盤をなす人材から生産基盤の再生を図る方向へ資源を集中投入していくべきだろう。安全保障や国土保全や環境政策の岩盤となるのが農業生産であろう。貧弱な農政に翻弄され、後継者育成力が壊滅した集落を再建することこそ、食料自給率の改善にも寄与する政策となる。

参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=348434

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