全ての細胞が生物時計の機能を持っている・・・生物時計(サーカディアンクロック)と松果体の関係

○全ての細胞が生物時計の機能を持っている
「サーカディアンクロック」、これは別名「生物時計」と呼ばれるが、、地球上のすべての生物は約1日周期の生物時計を体内に持っているのだ。
  地球の1日は24時間だが、生物が持つ生物時計のリズムは種によって異なり、24時間プラスマイナス3時間と言われている。なかでも人間の生物時計は25時間周期であることが実験で確認されている」。
 長い地球の歴史では1日が24時間でなかった時期もあり、24時間という数値には絶対的、物理的な意味があるわけではない。地球上で生きている限り、その時々の地球の周期に適応させる方が生物にとっては意味があり、そのためおおよそのリズムなのであろう。
 この仕組みはヒトに限らず、虫や動植物、菌類やバクテリアにも備わっている。例えばアサガオは、日が照り始めると咲くものだと思われているが、実は真っ暗な環境下でも時間が来たらちゃんと咲き始める。逆にずっと光を当て続けていても決まった時刻に咲く。開花を司っているのは、日の光ではなく「時間」なのだ。なぜなら、太陽だけを頼りにしてしまうと、悪天候や日陰の環境に適応できないから。花を咲かせられないというのは、植物にとって死活問題であり、太陽に頼るより時刻をカウントして朝の訪れを把握する方が確実だからだ、と考えられている
この仕組みは光を情報(エネルギー)として取り込み始めた、シアノバクテリアの段階で既に登場している。また、 人間の体は約60兆個の細胞で構成されているが、生殖細胞を除く全ての細胞ひとつひとつが生物時計の機能を有している。

○生物時計と松果体
しかし、それぞれの細胞の時計はばらばらに動くのではなく、生物時計の中枢からの信号を受け取り、同期して働いている。光情報(電磁波情報)によって制御やリセットもされているのだ。
この体内時計の中枢は脳深部の視交叉上核(しこうさじょうかく)と呼ばれる部位にあり、これは、光情報は、視覚のある生物では、視交叉上核から松果体に届けられる、一般に体内時計といえばこの視交叉上核→松果体を指す場合が多い。
もともと、動物の光受容は、視覚に関するものと、そうでないのもの=非視覚に分類される。
非視覚に関わるものは、概ね生物時計と関連しているが、それを統合しているのが松果体である。 魚類の松果体にある「光の波長(色)識別」と「生体リズムホルモンであるメラトニン分泌の光調節」にかかわる異なる2つの光受容タンパク質が、約3億年前に魚類の進化過程で起きた『ゲノムの二倍化』の後に分化した「双子」の関係であることが発見されており。視覚は松果体から枝分かれしたものである。従って視覚が登場する前は視交叉上核→松果体が光情報(電磁波情報)をキャッチしていたと考えられる。

それまで、色や明暗など光からの情報を感知するタンパク質は目の細胞の中にしかないと思われていた。しかし、実際には、目が退化していても光に反応する動物がいたり、目を摘出しても周囲の環境に合わせて体色を変幻自在に変化させる動物が知られており、目以外の場所にも光を感じることができる器官があるのではないかと思われるような事例が数多く確認されていた。

目の網膜から入った光の情報を、神経を経由して視交叉上核に取り込み、リズムのリセットを行っている。この視交叉上核で生まれた時刻の情報に基づいて、やはり脳の中にある松果体でメラトニンという時計ホルモンが睡眠中に合成され、血流にのって全身の細胞の時計に時刻の情報が行き渡る。
これは高度に進化した生物では、リズムに関するメカニズムの基本機能は、(1)光を感じる、(2)リズムをリセットする、(3)体内のほぼすべての細胞内に存在するリズムタンパク質に伝えて同調させる、の3つである。

しかし、細胞自体が持つ生物時計は単細胞時代からその機能を有していることが示すとおり、一定の自律性を有している。
リズムは眼の網膜から入る光によってのみリセットされるのではなく、例えば、食事によって肝臓で生成されるグルコースなどによってもリセットされる。さらにリセットシグナルが臓器内にあるリズムタンパク質に直接働きかける。そういった臓器には、肝臓のほか腎臓、心臓、血管などがあることが確認されており各臓器はそれぞれに特化したリズムの入力装置を持っている。これらの情報は松果体にフィードバックされる。

しかし、光を感知するタンパク質と細胞のリズムタンパク質同士が実際にどういったメカニズムで互いに関係し合っているか、そのメカニズムについては現在のところ解明されていない。

参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=345636

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