次々と脳化学について新しい認識が発見されている。 第2の脳=腸は有名なところだが、実は皮膚が第3の脳という認識が広まりつつある

近年、次々と脳化学について新しい認識が発見されている。
第2の脳=腸は有名なところだが、実は皮膚が第3の脳という認識が広まりつつある。
直感や心と密接に繋がる第3の脳=皮膚について解説した記事を紹介します。

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受精卵が細胞分裂する際に脳と皮膚は同じルーツから生まれ、よく似た仕組みを持っていることから『第3の脳』と言われています。

様々な事象から、皮膚と脳のつながりに着目した研究は進み、その成果は生まれたばかりの赤ちゃんから、体にトラブルを抱えるシニアに至るまでのQOLの維持・向上にすでに活かされていたのです。毎日の生活を顧みると、お風呂に浸かった瞬間に「あ~気持ちよいなあ」と感じたり、腹痛時に手でおなかをさすってもらうと「痛みが和らいだなあ」と感じたりするのは、実は体の表面の皮膚がキャッチしたものだったことがわかります。

また、人間の皮膚にはアドレナリンなどの脳内物質を感じとる受容体があるため、様々な感情を作り出す役割も担っているのです。そもそも皮膚の役割とは1つが生命を維持するための「防御機能」、もう1つが環境の変化を感知する「感覚機能」です。「防御機能」は体液の流出を防ぎ、体外からの異物侵入を防いでくれます。「感覚機能」は、周囲に起こった現象を知らせる機能で、何かを理解するためには不可欠な役割を果たしています。「鳥肌が立つ」などの表現はこの「感覚機能」がすくいとった現象であり、私たちの目には見えない情報を、皮膚は鋭く受け取ってくれていることに、改めて気付かされたのでした。

■皮膚が『第3の脳』と言われる理由
「皮脳同根」(ひのうどうこん)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。皮膚と脳は同じルーツを持つために密接に繋がっていることを示した言葉です。確かに、ストレスがたまるといつもより肌荒れひどくなったりします。これはただの肌荒れではなく、心から出される危険信号ともいえるのです。
細胞分裂を繰り返しながら成長する受精卵は、3週目に入ると胚葉(はいよう)と呼ばれるものができ、これは外胚葉、中胚葉、内胚葉と呼ばれる3層の細胞層からなっています。人間の皮膚は一番外側の「外胚葉」から派生したものであり、脳もまた「外胚葉」から派生したものであることから、皮膚と脳はルーツが同じなのです。
「第三の脳ー皮膚から考える命、こころ、世界」(朝日出版社 2007年)には、皮膚が第3の脳であることがわかりやすく記されています。著者は資生堂リサーチセンター主幹研究員の傳田光洋氏。「皮膚と心はつながっている」「感じるだけが皮膚の仕事ではない」「脳と表皮は生まれが同じ」などの表現に、納得する人も多いはずです。
脳と皮膚はルーツが同じだという点から様々な事例を調べていくと、日常の中で肌に施していることが、実は脳にも作用している点が多くありました。第二の脳が腸であることは以前にお伝えしましたが、皮膚が第三の脳として私たちのQOLアップに深く繋がっていることを強く意識することで、皮膚との付き合い方にも変化が生じるかもしれません。

■“女の直感”は、皮膚感覚から?
皮膚には、温かいとか痛いといった感覚をキャッチする神経が備わっていることは広く知られています。これらの「五感」に加えて「心地よさ」「気持ちの悪さ」「怖さ」などの感覚も実は肌で感じているのです。例えば「温泉に入ると、気持ちがよい」とか「触ってみたら気持ち悪かった」という感覚は、「皮膚が感じた感情」と言えます。こうして考えると、「鳥肌が立つ」「身の毛がよだつ」「温かい人、冷たい人」「肌が合う、肌が合わない」 など、皮膚感覚で感じた取った現象を表わした言葉が意外に多いことに気が付きます。皮膚は、目には見えない情報を受け取る感覚に優れていて、感情のアンテナのような役割を果たしているのかもしれません。
人間の皮膚には、「セロトニン」「ドーパミン」「アドレナリン」などの脳内物質を受け取る皮膚受容体があることから、いろいろなことを感じ取るのです。「セロトニン」は幸せや癒し、「ドーパミン」は快感や意欲、「アドレナリン」は活動的にしてくれる脳内物質であることから、正に「肌で感じて感情を作り出す」ということになります。
この皮膚感覚について、男性と女性を比較してみると男性は視覚的な人間が多く、皮膚感覚という目に見えないものを捉える感覚は弱いようです。見えないものから感じ取る、いわゆる「女の直感」は、女性特有の皮膚感覚の鋭さからくるのではないでしょうか。女性の脳は皮膚にあるといっても、どうやら間違いはなさそうです。

■「化粧」によって、脳が活性するシニア
2015年3月、株式会社資生堂は独自に開発した「化粧サービス」がシニアのQOLの維持向上に役立つことが確認されたと発表しました。シニアに「化粧サービス」を提供して「心」「脳」「身体」「口腔」の4つの面から検証をところ、参加者の健康度自己評価や抑うつ傾向に改善が見られたことを示すデータも同時に公表しています。
「心」の面では、化粧をすることにより外出や人と会う機会が増え、楽しいと感じる瞬間を今後も維持したいとするサイクルが生まれ、結果として「生きがい」につながっていきます。「脳」は、「認知機能低下」の度合いを化粧を継続したグループとしなかったグループで比較すると、継続グループの方が低下度合が少なかったことが明らかです。

「身体」面では、3ヶ月間毎日化粧を続けたグループは、化粧を施すことによる握力の向上がみられました。さらに「口腔」面では、半年間化粧を続けた人は口唇や舌の動きがスムーズになったことが確認されています。気持ちが外へ向き、人と気軽に話す機会も増えて、発語機能の向上に繋がったものと予想されます。

資生堂は「化粧サービス」をライフクオリティ事業と位置付け、各地で展開中です。直面する「少子高齢化」の中で、健康に年齢を重ねていくことが日本の最大の課題です。体を覆う皮膚への様々な刺激が、脳にプラス効果を及ぼすことを最大限に生かせば、高齢社会の課題解決に大きな力となっていくことでしょう。

リンクより抜粋

参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=345103

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