【フクシマ】福島原発の放射線被爆によるがん急増・・・2011年以降、福島県で胃がん患者が多発していることが確認されたため、その事実を報じたもの

「全国がん登録」最新データ公表 福島県で胃がんは3年連続で「有意に多発」していた(リンク

■「全国がん登録」最新データ公表
『週刊金曜日』2018年3月9日号に拙稿「福島で胃がんが多発している」が掲載されてから、半年が過ぎた。

この記事は、国の「全国がん登録」(全国がん罹患モニタリング集計)データを検証したところ、東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第一原発事故が発生した2011年以降、福島県で胃がん患者が多発していることが確認されたため、その事実を報じたものだ。

検証したのは、2008年から2013年までの6年分のデータである。単に患者数が増えているだけではなかった。統計的に有意な多発状態にあった。
当該記事ではデータの出典も明らかにした。つまり、疫学や統計学の基礎知識があれば、誰でも記事の真贋(しんがん)を確かめることができる。筆者が行なった検証作業とは、全国の「胃がん年齢階級別罹患率」と福島県の同罹患率を比較し、「標準化罹患率比」とその「95%信頼区間」を求める――というものだ。

■胃がんは3年連続で「有意に多発」
最新の2014年「全国がん罹患モニタリング集計」データが、国立がん研究センターのホームページ上で公開されたのは、9月15日(土)のことである。

日本のがん罹患率は、5歳ごとの年齢階級別に集計されており、人口10万人当たり何人発症しているかという「人数」で表わされる。

まずは、2013年の段階ですでに多発が確認されていた「胃がん」について、改めて検証することにした。全国の「胃がん年齢階級別罹患率」と福島県の同罹患率を比較してみたのが、次の【表1】だ。男女ともにさまざまな年齢層で全国平均を上回っている年齢階級が散見される。

次に、全国と同じ割合で福島県でも胃がんが発生していると仮定して、実際の罹患数と比較してみる検証を行なってみた。疫学(えきがく)の手法で、「標準化罹患率比」(標準化発生率比ともいう。略称は「SIR」)を計算する方法だ。全国平均を100として、それより高ければ全国平均以上、低ければ全国平均以下を意味する。

福島県の胃がんについて、2008年から2014年までのSIRを計算してみた結果は、次の【表2】のとおり。2011年を境に、男女とも全国平均を大きく超えてしまっている。ちなみに国立がん研究センターでは、SIRが110を超えると「がん発症率が高い県」と捉えているようだ。(中略)

■甲状腺がんは男性で「有意に多発」
若年層における多発が懸念されている「甲状腺がん」だが、SIRとその「95%信頼区間」を求めた結果が次の【表6】である。
罹患数が増加し続けた結果、2014年の男性でついに「有意に多発」するに至っていた。女性にしても、SIRは年々上昇している。参考までに、全国の「甲状腺がん年齢階級別罹患率」と福島県の同罹患率を比較したものも【表7】として示しておく。東京電力福島第一原発事故後、福島県が県内全ての子ども約38万人を対象に実施している甲状腺検査を受けていない年代にも、甲状腺がんが増えてきているのがわかる。

「前立腺がん」は、2012年の男性で「有意に多発」している。翌2013年に減少に転じ、多発状態はいったん解消されたものの、2014年には再び罹患数が増えており、今後の推移を注意深く見守る必要がある【表8】。

「胆のう・胆管がん」は、2010年、2013年、2014年の男性と、2009年、2014年の女性で「有意に多発」していることが確認された【表9】。このがんは、2011年以前にも福島県で「有意に多発」しているのが特徴だ。だが、近年はSIRが110を超え続け、2014年に至っては男女揃って「有意に多発」している。特に注意を払う必要があるがん、と言えるだろう。

「卵巣がん」は、2013年、2014年の女性で「有意に多発」している【表10】。明らかな増加傾向にあり、罹患数もあと少しで200を超えてしまいそうな勢いだ。

こうした状況を、福島県保健福祉部・地域医療課ではどう捉えているのか。コメントを求めたところ、同課の菅野(かんの)俊彦(としひこ)課長は、「コメントはお断りさせていただきます」とのことだった。

■「福島県のがん」は増え続けている
米国のCDC(疾病管理予防センター)では、2001年9月の世界貿易センター事件(同時多発テロ事件)を受け、がんの最短潜伏期間に関するレポート『Minimum Latency & Types or Categories of Cancer』(改訂: 2013年5月1日。以下「CDCレポート」)を公表している。

CDCレポートに従えば、胃がんの最短潜伏期間は「4年」である。そうであるならば、福島第一原発事故発生の翌年から多発し始めた胃がんの原因が「原発事故」であるとは考えづらいことになる。それとも、CDCレポートの知見を覆すような事態が、現在の福島県で進行しているのか。その真相はいまだ不明のままである。

前立腺がん、胆のう・胆管がん、卵巣がんはいずれも「固形がん」に分類されるもので、これらの最短潜伏期間も「4年」である。最短潜伏期間を過ぎた2015年以降のデータが、原発事故による被曝と発症との因果関係を推定する重要なカギとなりそうだ。

男性の甲状腺がんは、「2・5年」の最短潜伏期間を過ぎた2014年の段階で「有意に多発」するに至っていた。前述したとおり、女性のSIRも年々上昇している。「最短潜伏期間」の次にやってくるのは「平均潜伏期間」の山であり、原発事故による被曝が関与しているのだとすれば、男性に続き女性でも2015年以降、「有意に多発」している恐れがある。

参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=344632

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