【花粉症】ビタミンDとアレルギー性鼻炎・・・免疫の主役である白血球の細胞にはビタミンD受容体(VDR)が多く存在する

ビタミンDとアレルギー性鼻炎

花粉症の人にとっては辛い季節がやって来ましたね。今年のスギ花粉は去年に比べて早いペースで多く飛び始めており、さらに飛散量もやや多めのようです。

花粉症や喘息は炎症が持続している状態です。このため、改善方法として、抗炎症を促し、免疫寛容を誘導する必要があります。私も実は7~8年前に花粉症を発症してしまい、治療なしで自力で克服しました。今日は克服法についてまとめていきます。(ただし個体差がありますので、あくまで参考にしてください)

免疫の主役である白血球の細胞にはビタミンD受容体(VDR)が多く存在し、ここに活性型のビタミンD(1,25D3)が結合すると、「免疫寛容」を誘導しやすくなります。「免疫寛容」とは必要以上に免疫反応を起こさないことをいいます。

免疫寛容の主役は、Treg(ティーレグ)といわれている制御性T細胞であり、ビタミンDはこのTregを誘導します。同時に、自己免疫疾患の症状時に暴走しているTh1細胞やTh17細胞の活動を抑え、さらにアレルギーや喘息症状時に暴走しているB細胞の活動も抑制します。

脂溶性ビタミン(特にDやA)はビタミン作用というよりは、遺伝子(特に免疫システムの白血球のDNA)に直接働くホルモン様作用のある栄養素です。

インドの研究では、アレルギー性鼻炎患者50人を30日間ビタミンD1,000IU補給したグループと、偽薬のプラセボグループに分けて試験をしたところ、ビタミンDグループの総鼻症状スコア(TNSS)が対照群に比べて約半分まで落ちていたことがわかっています(A Malik et al;European Respiratory Journal 2015 vol.46 no. suppl 59)。このとき、血中ビタミンD濃度(25ヒドロキシビタミンD3)は、VD補給群が約30ng/mlで、対照群は約18ng/mlでした。

トルコの研究では、子ども141人を対象に血清25ヒドロキシビタミンD3濃度を測定したところ、アレルギー性鼻炎をもった子どもたちの血中VD濃度は対照群より有意に低かったことがわかっています。ちなみに、約18ng/mlという低さです(Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2016 Jan;80:39-42)。

イギリスによるカタール国の子ども1,833人を対象にした血中ビタミンD濃度の調査では、アレルギー性鼻炎を発症している子ども達は健康な子ども達に比べて血清25ヒドロキシビタミンD濃度が低いことを示しました(J Family Community Med. 2014 Sep;21(3):154-61)。

さて、ビタミンDはどのくらい摂取するべきか?という質問に対して、摂取量よりも血清25ヒドロキシビタミンD濃度の方が指標になると私は答えています。つまり、やみくもにビタミンDをメガ摂取するのではなく、まず血中のビタミンD濃度を知った上で、対処するのがベターだといえます。

理想値は、30~70ng/mlです。(≒75~180nmol/ℓ。単位に注意すること。)

ちなみに、日本人の90%が30ng/ml未満だといわれています(Lips D et al,2006)。

また、口呼吸の人、粘膜がカサカサ(乾燥状態)の人、内臓脂肪過多の人はこれらを改善しない限り、ビタミンDや他の栄養素や漢方を補給しても、対症療法となってしまいます。血中のビタミンD濃度だけでなく、まずはこうした根本的な原因も探ることが大事です。

花粉症の人はぜひビタミンD補給を意識してみてください。その場合、1,000~4,000IU/日は必要になってくるかもしれません。

参照:https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1116845295162504&set=a.122416054605438&type=3&theater

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