会話する臓器たち~脳を経由せずに、人体の各部が駆動物質を出して協調的に機能している

今までは、人体のイメージといえば、脳が全体の司令塔となり、他の臓器はそれに従うというものだっが、最近の研究で、脳を経由せずに、体中の臓器が互いに直接情報をやり取りすることで、私たちの体は成り立っている」という事実が次第に明らかになってきている。

以下、「人体は、 巨大なネットワーク 」リンクより
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 従来は、 脳が人体の司令塔となり、 他の臓器はそれに従うものと考えられていました。 しかし最新科学はその常識を覆しました。 体内の臓器が互いに直接情報をやり取りすることで、 わたしたちの体は成り立っているという、 驚きの事実が明らかになりました。 このいわば、 臓器同士の会話を知れば、 わたしたちの若さと美しさの秘訣も見えてきます。 更に、 深刻な病気の多くは臓器同士の会話で間違った指令が送られるなどの異常によって 引き起こされることがわかりました。 その結果医療の世界に大革命が起こりつつあります。 癌や認知症、 高血圧、 メタボ、 アレルギー。 骨粗鬆症など悩ましい病気が、 臓器の会話を操ることによって、 治すという、 全く新しい治療法が成果を上げ始めました。

 今まで、 脳の一部がメッセージを出していることはわかっていましたが、 更に各々の臓器のすべての細胞が、 声をかけながら調和しながら、 わたしたちの生命が維持されているということが分かってきました。 脳が信号を送るのはもちろんであるが、 今は脳が一番偉いというよりも全身の細胞が対等だと、 今まで当然と考えられていた組織を劇的に変えました。 今の最先端科学が示すわたしたちの体の新しいイメージとは、 体=巨大ネットワークなのです。

(略)

 かって、 医学界では、 メッセージ物質を出すのは脳などごく限られた臓器だけが常識でした。 脳が出すメッセージ物質はホルモンと呼ばれています。 脳細胞の内にまるいカプセルにホルモンが入っている。 ところが寒川賢治氏 (国立循環器病研究センター所長) は、 思いもよらぬことに脳以外の臓器にも同じようなカプセルがあることを発見しました。 その臓器とは血液ポンプ心臓でした。 心臓のカプセルを調べると脳が出すホルモンと同様、 他の物質に伝達するホルモンが入っていて、 この心臓の出す物質をANPと名付けられました。 心臓が一体どういうメッセージを出しているのでしょうか。 何らかの原因で血圧が昇り心臓に大きな負担がかかると、 心臓の細胞はメッセージ物質ANPを大量に放出します。 これは、 いわば疲れたしんどいという、 心臓のつぶやきです。 ANPが血管を通じて全身に運ばれます。 それを受け取るのは腎臓です。 腎臓の細胞にはANPをキャッチする装置があります。 心臓のメッセージを受け取った腎臓は、 尿の量を増やします。 体内の水分を外に出し血液の量を減らし、 ポンプである心臓の負担を軽くするためです。 こうして速やかに血圧を下げることで心臓を楽にします。 脳とは一切関係なく心臓と腎臓が直接会話しながら助け合っていたのです。

 その後、 ANP (メッセージ物質) の更なる働きが解明されました。 それは癌治療に革命をもたらしつつあります。 心臓が出すメッセージ物質が新しい薬になったのです。 癌手術の際、 患者にANPを投与すると、 その後の、 再発、 転移を大幅に抑えられることが明らかになってきました。 ANPが腎臓以外にも作用した結果、 心臓から出て全身の血管に作用し全身の血管を守ってくれる。 血管の細胞にもANPを受取る装置がある。 受け取ると思わぬ変化が起きる。 傷んだ血管があり、 そこに血液が滞ると心臓に負担をかける原因になります。 ところがANPを受け取ると血管がささくれを速やかに修復し、 心臓を楽にします。 心臓と血管でひそかにかわされている会話、 それをうまく利用することで癌の転移を防ぐことができるのです。

 癌を手術した直後はわずかな癌細胞が血液中に流れだし、 全身を巡っている。 これらは数日で死ぬために問題にならない。 ところが、 血管に傷んだ場所があると、 そこから癌細胞が入り込みやすくなる。 そこでANPを血液に投与すると、 心臓からのメッセージが来たと感じた血管は傷んだ壁を修復し、 癌細胞が付け入るスキをなくし転移を防ぐことができる。 心臓が体内にメッセージを送っているという寒川さんの発見が、 画期的な癌治療を生み出しつつあるのです。

 今や心臓だけでなく様々な臓器や細胞からメッセージが発信され、 われらの体に大きな影響を与えていることが明らかになってきています。

 例えば腎臓が、 酸素が足りない時に出すメッセージ物質EPOは、 運動選手の持久力をアップすることが明らかになっています。 だだの脂あぶらだと思っていた脂肪が、 メッセージ物質レプチンを放出し、 なんと脳に働きかけ食欲や性欲までコントロールしていることがわかってきました。 人体は様々なメッセージ物質による臓器同士による会話によって成り立っているのです。

 ANPは心臓が出しているメッセージ物質の一つですが、 何百種類のメッセージがわかっています。 それぞれの細胞が意思を持っている。 人体の中ではあらゆる細胞同士がメッセージ物質のやり取りをしている。 血管という情報回線の中を臓器や細胞からのメッセージが飛び交っている。 人体は巨大なネットワークだったのです。

参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=343163

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