【揚げ物大国ニッポン】『揚げ物が死亡リスクを上げてしまう』という発表(米国)。理想的な調理は「煮る・蒸す・湯がく」が良い。

『揚げ物が死亡リスクを上げてしまう』という発表(米国)

アイオワ大学公衆衛生大学院による研究では、フライドチキンやフライドフィッシュをよく食べる米国人女性(50~65歳)は、総死亡率のリスクと心血管死亡率のリスクが高いということがわかりました(BMJ,23 Jan 2019;364:k5420)。

この研究は、米国40箇所の臨床施設で1993年9月から1998年の間に在籍した女性1,914,691人を2017年2月まで追跡した調査による前向きコホート研究で、フライドチキンやフライドフィッシュ(またはフライドシェル)などの揚げ物をよく食べる人は、週に1サービングを食べる人(または全く食べない人)と比較して、心血管死亡リスクが13%も上がることがわかったのです。(総死亡リスクは8%の上昇。)

理想的な調理は「煮る・蒸す・湯がく」が良いと、私はいつも言っています。その理由は、AGEs(終末糖化産物)やヒドロキシノネナール、そしてトランス脂肪酸などの有毒の副産物を曝露しないようにするためです。

フライ調理をすると、食品はまず水分を失い、その後でフライ油の脂質を吸収します。さらに、フライ油の問題は、店頭の調理場で何度も再利用されることによる劣化と、アルデヒドやAGEsなどの副産物です。これらは、私たちの体に大きな負担と害をもたらします。

実際に、米国におけるいくつかのコホート研究では、揚げ物の摂取量の増加は2型糖尿病のリスクをもたらし(Am J Clin Nutr2014;100:667-75)、心血管疾患のリスク増加と関連しています(J Am Heart Assoc2015;4:e001740; Am J Clin Nutr2017;106:162-7)。

誤解しないでいただきたいのは、過酸化脂質自体はそこまで毒性は強くありません。問題は、約140~200℃のような高温化のフライ調理になると、発生した過酸化脂質がさらに分解されやすくなり、アルデヒドなどの酸化二次生成物のような、より多くの低分子成分が生じ、これが体に害をもたらすのです。

多くのレストランでは2~3日でフライ油を変え、スナック食品の工業製造では1日に2~3回変え、ドーナツやファーストフード店は1日に1回新油に変えるそうです。フライ油による酸化二次生成物(ノネナールやMDA)は食品へ移行していきます。そしてそれを摂取した私たちは徐々に体の細胞に異変が起きるわけです。

興味深いことに、地中海料理における揚げ物の摂取量と冠状動脈性心臓病との間に関連性は見られていないのです(BMJ2012;344:e363.)。これは地中海料理で使用される油は多くがオリーブオイルで、一方米国の飲食店でフライ調理に利用されるのはキャノーラ油やサラダ油などだからかもしれません(たまに飽和脂肪酸も使用されています)。つまり、油の種類や質にも大きく影響を受けるのです。

ヒドロキシノネナールのようなアルデヒドは基本的に体内にそのデトックス機構があります。しかし、これらは内因性で生じたアルデヒドを予想した仕組みであり、近代食のように多くのアルデヒド曝露量では到底追いつかないのです。

揚げ物は確かに美味しいです。しかし、当たり前のように摂取することは実は体に毒をためてしまい、インスリン抵抗性の原因となったり、心疾患を招いてしまったりしてしまうのです。私も揚げ物は好きですが、意識して、できるだけ避けるようにはしています。(あくまで嗜好品として考えるべきです)

参照:https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1096202110560156&set=a.122416054605438&type=3&theater

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