医薬品による水環境汚染が深刻化している・・・じわじわと迫りくる脅威

じわじわと迫りくる脅威…今、医薬品による水環境汚染が深刻化している(リンク)より転載します。

私たちがふだん何気なく使っている飲み薬、塗り薬や錠剤などが、世界中の地表水をじわじわと汚染しつつあるそうだ。オーストラリアのモナシュ大学によれば、世界中の河川や湖から検出された医薬品は600種にものぼるという。

■医薬品のスープ
世界人口の増加と老化とともに医薬品使用も増えてきている。これらのうち体に取り込まれなかった余剰な成分は尿とともに排出され、または未使用の薬がそのままトイレや水道に流されたりして下水に混入してしまう。

ところが、たとえ下水処理場を介したとしてもそれらの化学物質を完全に取り除くことはできないそうだ。下水に混入した医薬品は川へ、そしていずれは海へと流れ着き、徐々に溜まってしまう。

何百種もの医薬品が自然の生物に、そして広くは生態系にどのような影響を及ばすかは未知数だ。ましてやそれらの医薬品同士が化学反応を起こす可能性も充分にわかっていない。このままでは人間が捨てた医薬品の影響が食物連鎖を通して人間に跳ね返ってくる時が必ずくる。

■手つかずの国立公園内でも…
世界中の池や川が医薬品のスープのようになってしまっているのなら、そこに棲んでいる水生生物はどのぐらい汚染されているのだろうか?

疑問に思ったモナシュ大学のリッチモンド博士は、オーストラリアの6つの川に棲む水生昆虫の幼虫からどれだけの医薬品が検出されるかを調べた。その結果、水生昆虫からは69種もの医薬品が検出されたそうだ。

もっとも多かったのは抗鬱薬、抗生物質、抗ヒスタミン薬、非ステロイド性抗炎症薬などだった。そしてもっとも汚染状況がひどかったのは下水処理場の下流だった。

しかし、一見手つかずの大自然が広がっている国立公園内の川からも同じ薬物が検出されたというから驚きだ。どんな秘境にも人間の手がすでに及んでいる証拠である。

さらにその水生昆虫を食すクモの体からもどれだけの医薬品が検出されるかを調べた結果、66種が検出された。医薬品が確実に食物連鎖を上がってきていることを突き止めた研究はこれが初めてだという。

■抗鬱剤は魚を興奮させてしまう?
これらの医薬品が生物に及ぼす影響はまだ充分に検証されていない。

希少な研究成果を発表しているモナシュ大学のウォン教授(Bob Wong)とマーティン博士(Jake Martin)によれば、淡水魚のカダヤシにフルオキセチン(抗鬱薬のプロザックに含まれる有効成分)を与えたところ、オスが性的に興奮してメスに過剰な「セクハラ」を行ったそうだ。

それだけではない。別の実験でフルオキセチンを与えられたカダヤシがどのように外敵に反応するか調べたところ、逃げるそぶりを見せなかったという。

あまりにもしつこいオスから逃げ惑うメスも受難だし、外敵に隙だらけになってしまっては種の存続が危ぶまれることは明らかだ。

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=341550

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