口呼吸を改善することが先・・・口呼吸は特に日本人に多く見られる呼吸で、これがあらゆる疾患に結びついています。そもそも本来の呼吸とは鼻呼吸であり、人間に見られる口呼吸は他哺乳類にはほとんど見られません

口呼吸を改善することが先

口呼吸は特に日本人に多く見られる呼吸で、これがあらゆる疾患に結びついています。そもそも本来の呼吸とは鼻呼吸であり、人間に見られる口呼吸は他哺乳類にはほとんど見られません。

そして、鼻呼吸が減り、口呼吸が多くなってしまうと、口から病原菌やウイルスが侵入しやすくなってしまい、全身に慢性炎症が広がります。

実際に、口呼吸をしている人には、慢性的なアレルギー、花粉症、副鼻腔炎、ぜんそく、慢性ストレス、関節リウマチ、歯肉炎、扁桃腫大、虫垂炎、IBS、潰瘍性大腸炎などの疾患と相関があります。

徳島市内の13保育所において2~6歳の552人児童を対象とした研究では、日中の口呼吸率は35.5%、睡眠時の口呼吸率は45.9%もあったことが報告されています(PLoS ONE 10(4):e0125916 , April 2015)。さらに、この研究により口呼吸とアトピー性皮膚炎との関連が指摘されました。

しかし、口呼吸における大きな問題は、口呼吸をしていることを自覚していない人が意外にも多いということです。本人は口呼吸をしていないと思っても、睡眠時に口呼吸をしていたり、意識して鼻呼吸をすると鼻汁の音がしたり、くち閉じテープを貼ると呼吸が苦しくなったり、ということがあります。

鼻で呼吸することはさまざまな利点があります。まずはろ過機能です。鼻から吸い込んだ空気を鼻腔の粘液と繊毛がろ過するフィルタリング機能がありますが、口呼吸ではこうした外敵への防御機構はほとんど備わってはいません。

鼻呼吸では、副鼻腔が体内に入ってくる空気の温度(37℃前後)と湿度(100%)を調整する作用もあり、乾燥や低温に弱い肺や気管支を正常に保ってくれます。副鼻腔が適温を調整してくれることで、極寒の土地でも肺や気管をしもやけから守り、一定の湿度を保つことでインフルエンザウイルスのように低温で乾燥した空気を得意とする病原体からも守ってくれます。

しかし、口呼吸では、冷えて乾燥した空気や細菌・ウイルスなどが扁桃組織を直撃し、体温を下げ、体内の免疫力を大きく下げることになってしまう可能性があります。そして、酸素供給量も鼻呼吸より少ないのが特徴です。

このように鼻呼吸は、空気中の病原菌が侵入してきても、鼻の毛やアデノイド(咽頭扁桃)、そして粘膜などによって、空気を温めて、ろ過し、そして加湿することができます。こうして炎症を軽減させることができるのです。

さらに、鼻呼吸は、一酸化窒素(NO)の産生を促進します。一酸化窒素といえば、高くなった血圧を下げることができる血管拡張作用が有名ですが、それだけでなく、殺菌効果もあり、これによって副鼻腔を感染から守るのに役立ちます。

口呼吸のもう一つの問題は、二酸化炭素の血中濃度が下がることです。そもそも二酸化炭素は呼吸のときに発生するただの排気ガスではありません。「二酸化炭素は酸素よりも重要な生体の要素である」という医師もいるぐらい、大切な成分なのです。なぜなら、呼吸によって得た酸素を各組織に放出するタイミングは二酸化炭素量に大きく依存しているからです。事実、二酸化炭素量が必要レベルである5%ぐらい蓄積されていないと、酸素は赤血球ヘモグロビンに結合したままで、各組織に送り込まれない仕組みになっています。

他にも口呼吸は歯並びの崩壊や歯ぎしりの原因とも関係しています。

その慢性的な炎症をたとえ栄養療法で改善しようとしても、口呼吸を改善しない限りは、これでさえ対症療法になりかねないのです。まずは口呼吸の有無を確認し、有ればこれを優先して治すことが先でしょう。

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