【宇宙気候】 宇宙線変動の時間スケールとその要因

(銀河)宇宙線が地球にどのような影響を及ぼすかを、宇宙線を遮る太陽磁場や地磁気の変動から見てきた。

一方で、太陽圏に飛んでくる宇宙線の量自体も、数千万年あるいは数億年というスケールで増減しているため、それにより地球に降り注ぐ宇宙線量も変動する。

太陽系周辺の宇宙線環境の変化にともなって生じる宇宙線量の変動は、太陽系活動の変動(→宇宙線バリアーの変動)と比べても何倍も大きくなり、超新星残骸のごく近くに接近してしまった場合には、桁違いに高レベルの放射線下にさらされることになる。

銀河の構造は、明るく光る恒星が密集している腕のような領域が何本もある。そして、その明るい腕と腕の間には暗く見える領域がある。さらに、時間とともに明るい領域と暗い領域が少しづつ移動し、銀河の渦構造が回転している。

明るく光る腕は、恒星が密集している地域で、ここで恒星の超新星爆発がおこるので、ここは星がたくさん死ぬ場所でもある。一方、腕と腕の間の暗い領域は、死んだ星の塵やガスが密集する分子雲があり、それらを材料にしていずれまた新しい星が形成される。

銀河の中のたくさんの恒星の死と生まれ変わりのリズムが、銀河の腕となって見えている。

太陽系は、その銀河の中を、少しだけ速度をもって移動し、“1.4億年おき”に銀河の腕の中を通過する。

銀河の腕の中ではたくさんの恒星が死を迎え超新星爆発を起しているので、太陽系がそこを通過している間は、より多くの宇宙線が降り注ぐことになる。

加えて、太陽系が銀河の円盤の中を公転する際に、円盤に対して垂直な方向に移動している影響で、地球に降り注ぐ高エネルギーの宇宙線の量に、“6000万~7000万年”ほどの周期性がある。

さらに、天の川銀河に近隣の銀河が近づいてきたときに、潮汐力によって「スターバースト」と呼ばれる星の爆発的形成が引き起こされる可能性もあり、その場合は、大量の恒星が急激に形成されそして超新星爆発を起すので、太陽系が超新星残骸に接近し易くなるだけでなく、残骸そのものに突っ込んでしまう可能性も上昇する。

【宇宙線変動の大まかな時間スケールとその要因】

・27日周期        : 太陽の自転活動にともなう変動

・11年、22年周期    : 太陽活動周期と太陽磁場反転 

・200年周期       : 太陽活動の長周期(極小期の発生)

・1000年、2000年周期: 太陽活動の長周期(極小期の頻発)

・1万~数百万年      : 地磁気変動

・6000万年周期     : 太陽系が銀河円盤をアップダウン

・1.4億年周期      : 太陽系が銀河の腕を通過

・数億~数十億年周期    : スターバースト

 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=320997

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