資本主義はなぜ終焉に向かっているのか?
かつては、完璧で理想的な社会にしていくために提起された理論であり、世界の人々はほとんどみな、この市場社会のなかで生きてきた。
だけど、最近、考えや実態の感覚がこれらの理論とすり合わなくなってきた。
それを人間の深層心理(感情や本能)分析によって、明らかにしようとしている。「不安も、激しい感情の動きもない超人」であることが、市場社会をコントロールしていくためには必要らしいが、それは、人間がもとから持っている感覚や感情を否定し結果封鎖することに鳴っている。それがいま、うつや燃え尽きという形で潜在的な反発が出はじめている。
皆、それにいち早く気づき、人類滅亡ではなく発展の方向に向かいたい。
リンク
――――以下、リンクより引用――――――「資本主義の精神分析」 書評より
本書は、資本主義の抱える病理と、個々のプレーヤーの精神分析を軸に、現代の経済システムを、経済と心理の両方の論理で理解しようとする。人間の本質を解明する手立てとして、古代から伝承されてきた神話を材料にし、感情や本能の細かな分析によって深層心理に迫っている。
まず、資本主義の病理として、
(1)欲望を人工的に発生させる
(2)破壊するために生み出し、生み出すために破壊してしまうという自己目的のための労働
(3)企業家は利潤だけを進歩の目安とし、合理化と節減を強要する。人々は、自然や環境への深い理解や、家族のきずな、余暇、安らぎ、人とつながる感覚などを取り戻したいと願う
(4)人々は抑うつ的な精神状態や燃えつきなどの症状に見舞われる
――の諸点を挙げる。問題の起源はシステムにではなく人間の本性にあるとする点や、システムをモデルと予測で裏打ちするため社会全体に欠かせない存在になっている経済学の欠陥が問題を引き起こしているとの糾弾は興味深い。理念上の自由市場を現実のものとして売り出そうとした新古典派経済学は、不安も、激しい感情の動きもない超人が、合理的な選択と予想によって自由経済をコントロールし、効率的な市場を作る。そこでは不安、恐怖、不確実性はなく、学問的には完璧だが、心理学の観点からすれば、愚の骨頂という行為主体を前提とする。
(後略)
《評》学習院大学名誉教授 奥村 洋彦
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