人類は、本能、共認、探求、観念と新機能を獲得し進化してきた。
このうち観念機能に相当する部分はAIの得意分野。
では、探求回路、共認回路に相当する部分をAIは獲得できるのだろうか、それはAI自ら共認主体になることを意味するが、できなければAIに無限の可能性は無いと言えるだろう。リンクより紹介する。
ここでは、ある程度なら自分の行動を評価しそれに応じて修正できるAIがすでに存在する、とある。————————————————————-
機械が本当に人間を真似して作られたのなら、その”脳”はただ人間のように情報を処理するだけなく、人を人たらしめているある種の抽象的思考を実現できるほどに複雑なものでなければならない。そこには”自己”の認識や世界における自らの場所といった認識――すなわち意識という状態も含まれる。
はたして人工知能(AI)にとっての意識とは何を意味するのであろうか? またAIがそれを獲得する日はどこまで近づいているのだろうか?
■AIの意識とは?
哲学者は、意識を自己という固有の感覚と自分の周囲で起きる出来事に対する知覚とが結びついたものとして説明した。一方、神経科学者は、脳の活動を解析することで、意識を定量化するという視点を提示した。しかし、こうしたやり方をAIに当てはめるには注意が必要だ。ある部分では、AIの処理能力は人間の脳とはまるで異なっている。
高度なAIシステムは、階層化アルゴリズムのネットワークを利用する「ディープラーニング(深層学習)」という処理法によって、演算タスクを素早くこなしつつ、より複雑な問題解決を行う。
これは情報が神経細胞同士の結合を行き交う人間の脳のやり方とよく似ている。ニューラルネットワークにおいてディープラーニングは、病気を特定する方法やゲームに勝つ方法の発見など、AIによる自己学習を可能にする。
しかしこうしたことを達成するには、ニューラルネットワークは相変わらず人間のプログラマーに頼って、課題を設定したり、学習するためのデータを選んでもらったりしなければならない。
AIの意識とは、ニューラルネットワークが「プログラマーの意図から離れて、こうした最初の選択を自分で行えるということを意味するだろう」と、オックスフォード大学のコンピューター科学者エディス・エルキンド氏は述べている。
彼によれば、機械がプログラム通りに動くのではなく、自分で目標を設定するようになった時、初めて意識を宿したと言えるようになるのだ。
■意識の三段階
意識を宿す機械を作る上で難題の1つが、人間の意識もまたきちんと定義されていないということだ。それゆえにAIのアルゴリズムでその状態を再現することが、不可能ではないにしても、困難になると、ある論文では述べらている。
そこで、その論文は脳内の計算に基づいて人間の意識を三段階で定義した。最初の「C0」段階は、無意識に起きる計算の段階だ。例えば、我々が行なっている顔の識別のようなもので、論文では、ほとんどのAIがこの段階にあると述べている。
次の「C1」段階になると、情報の”グローバル”な知覚が生じる。つまり、特定の状況に応じるために、データを積極的に転換・評価し、情報に基づく、意図的な選択を行う。
自意識が芽生えるのは第三段階目の「C2」においてだ。この段階では、個々が認識し、間違いを修正し、未知のものを調査する。
■人間の意識と無意識の違いを定義すればAIが意識を持つことも可能?
このように、人間における意識と無意識の違いをコンピューター用語で定義してしまえば、それをプログラムすることはそれほど難しくないかもしれないと、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームは述べている。実は、ある程度なら自分の行動を評価し、それに応じて修正できるAIがすでに存在する。それでも意識を宿したAIがすぐに登場するとは思わない方がいいようだ。
自律的に作動する機械の登場はすぐそこまで来ているが、意識を宿す機械となればまだまだ先のことのようだ。