ハレとケの民族学と養生訓に学ぶ!粗食こそが不老長寿の秘密

民俗学を纏めてきた柳田国男氏によると日本人には、ハレとケの考え方があり、日常の生活ケと、特別な行事であるハレの場とは完全に分かれていたといいます。

勿論それは、食事にもいえることで、ケの食事である日常の食事は基本的に、毎日毎日同じものを食べる事になります。何を食べるかといえば、それはご飯が基本になります。このご飯というのが、白米であるか、麦飯か、玄米か、雑穀米かの違いはあっても、一汁一菜が食事の基本となるのです。ご飯と味噌汁、それに野菜の煮物か漬物などが付くだけの粗末ともいえる食事こそが、ケの食事なのです。

ケの日の食事が決まっていることは厳格なまでで、下級藩士の子であった俳人の内藤鳴雪は、魚が膳に上るのは、1日と15日、28日の3回と決まっていた。と記しています。つまり、ケである普段の食事は大変につましく変化の乏しいものだったのです。

福岡藩の儒学者、貝原益軒が83歳の時に書かれた養生訓によると、「養生の術をつとめまなんで、久しく行はば、身つよく病なくして、天年をたもち、長生を得て、久しく楽まんこと、必然のしるしあるべし」と言っています。

人間はきちんとした生活をしていれば、長生きできますよ。というわけですが、その中で貝原益軒が、繰り返し、繰り返し、しつこい程述べているのが、腹八分目ということです。とりわけ魚等はごくたまに食べるに留めて、野菜や穀類を食せといいます。

徳川家康は「長命こそ勝ち残りの源である。」という名言を残しているとされますが、家康が生涯食べ続けたのは麦飯と豆味噌でした。家臣が気を利かせ、椀の底に白飯を盛りその上に麦飯をかぶせて出した処、それに気づいた家康は、「わしの心を察していない」と激怒したというエピソードがある程です。家康はその言葉通り、平均寿命が40年と言われる時代に75歳まで長生きしました。

家康の知恵袋と言われた天台宗の高僧である天海に至っては108歳という驚くべき長寿だったといわれています。天海は納豆汁とクコ飯を好んで食していました。両者共に粗食を常としていました。粗食が長寿と関連するのでしょうか?

その答を現代医学が解き明かしています。実は最近の研究で、長寿遺伝子というものがあると言う事が、発見されました。長寿遺伝子とは、操作をすれば、老化を遅らせ、寿命を延ばす遺伝子のことです。人の細胞の中には、老化や寿命をつかさどる長寿遺伝子が50個から100個ぐらいはあるといわれています。

この遺伝子は、米国・マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ教授が8年の歳月をかけて2003年に酵母菌の中から、サーチュイン遺伝子という老化を遅らせ、寿命を延ばすという、夢のような不老長寿遺伝子です。

この長寿遺伝子にはスイッチがあり、スイッチをおさないと発動しません。人間の長寿遺伝子は眠った状態にあるのです。長寿遺伝子のスイッチを入れるには、どうすればいいのでしょうか?それはカロリー制限をする事です。摂取カロリーが少なくなると、長寿遺伝子のスイッチが入るのです。

マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ教授の実験ではショウジョウバエで約30%、線虫では約50%寿命が延びています。また様々な研究機関が、不老長寿の研究を行っています。

米ウィスコンシン国立霊長類研究センターは、アカゲザル76匹を、カロリー制限を一切しないグループと、厳しいカロリー制限を課したグループに分けて、1989年から25年間という長い期間をかけて、2つのグループの疾病や死亡率を比較する実験を行っています。

食事制限をしたサルには、通常のサルが摂取する量から30%のカロリーを制限した量のエサを与えました。 その結果、食べたいだけエサを食べてきたサルでは、疾患リスクは2.9倍に、死亡リスクは3倍に上昇しています。何よりも制限を受けたサルの毛並みは若々しく艶があったのです。この場合サルでは、腹7分で長寿スイッチがはいったようです。

リンクより転載

 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=320252

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