砂糖と糖質は同じものではない。砂糖を構成する単糖、フルクトース(果糖)が危ないのではないか??

糖質制限の意味

糖質の過剰摂取自体はインスリン抵抗性を引き起こさず、したがって肥満や糖尿病の原因にはなりません。それは20世紀初頭の日本しかり、中国や東南アジアの農村部しかり、ニューギニア高地人しかりです。ニューギニア高地人は、食事の9割がサツマイモ、ヤムイモ、タロイモといった根菜類であり、糖質中心の食生活です。にもかかわらず、西洋文明が入ってくるまで糖尿病は存在せず、肥満者もみられませんでした。

糖質制限の問題点の一つに、糖質を区別していないことが挙げられます。実際は砂糖や異性化糖と他の糖質は分けて考えるべきものです。糖質中心の食生活であっても、砂糖や異性化糖を摂らないならば、糖尿病も肥満も起こりません。穀物が精製されているかどうかもほとんど関係ありません。白米と玄米、精白小麦と全粒粉を分けて考えることも意味ありません。

砂糖や異性化糖と他の糖質との最大違いは、「果糖」です。実はデンプン質が分解されてブドウ糖になりますけど、ブドウ糖そのものはインスリン抵抗性を引き起こす原因にはならないのです。その一方で果糖はインスリン抵抗性を引き起こします。インスリン抵抗性がインスリンの過剰分泌を引き起こし、インスリンの過剰分泌がさらなるインスリン抵抗性を引き起こすという悪循環が、2型糖尿病発症のメカニズムなのです。

糖質過多の食生活でも果糖を摂らなければインスリン抵抗性は起こらない一方で、糖質自体を控えめにしても果糖を摂取し続ければインスリン抵抗性は生じます。これが砂糖の普及に伴って肥満や糖尿病が蔓延し、砂糖の無い世界に肥満や糖尿病がみられない理由です。

それなら重要なのは果糖の摂取制限であって、糖質そのものの制限ではないということになります。実際僕はそう考えています。ちなみに砂糖以外の代替甘味料でもインスリン抵抗性が生じるという実験結果があります。スクラロース、アスパルテーム、ステビアで行った実験では、インスリン抵抗性が20%上昇したということです。

とはいえ、すでにインスリン抵抗性が生じている人においては、インスリンを過剰に分泌させる糖質の摂取がさらなるインスリン抵抗性を引き起こす悪循環が生じていると考えられますから、果糖のみならず糖質全体を制限することに意味はあるでしょう。そして現代社会に生きる人の大多数が多かれ少なかれ砂糖を摂取し続けていて、インスリン抵抗性が生じていると考えるべきです。そういう状況では、糖質制限は意味のある食事法ということになります。

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