現代人は極度に日光を避けビタミンDが不足している:インドの子ども達のビタミンD欠乏を解消するために学校がしたこと

『インドの子ども達のビタミンD欠乏を解消するために学校がしたこと』

インド都市部の若者の間では90%以上がビタミンD欠乏症になっており、これを受けて、ついにインド食品安全基準局(FSSAI)が一部の学校と協同で、日光浴キャンペーン『Project Dhoop』を開始しました。(The Hans India誌 2018/04/10記事)

これは、今まで毎朝行われていた朝礼集会を、もっとも紫外線量の多い午前11時~午後1時の昼にあえてシフト変更することで、日光浴によってビタミンDの充足をはかるという、とても画期的な栄養療法を教育現場でスタートさせたのです。

Project Dhoopというキャンペーンは、食品安全基準局(FSSAI)による指導のもと、ニューデリー市議会(NDMC)、NCERT、そしてノースMCDスクールと協力して実施されています。(※DhoopとはSunlightを意味すると思ってください。)

インドのほとんどの地域は、一年中豊富な太陽光を受けているのにもかかわらず、驚くべきことにインド都市部の若年層の90%以上がビタミンDが不足しているという調査結果があります。さらに、デリー地域だけで、6〜17歳の子どもの90〜97%がビタミンD欠乏症を抱えています。

一般に、私たちの身体で必要とされるビタミンD量の約90%が日光浴由来で、食事由来は約10%しかありません。このため、日光浴がとても重要なビタミンD合成の場となるのです。さらにこのプロジェクトDhoopでは、この日光浴だけでなく、ビタミンAとDを強化した食品についても指導しています。

しかし、本来の理想的な日光浴は、朝と夕方に時間をかけて浴びることです。なぜなら、朝と夕方であれば日差しが強すぎないため極端な日焼けや皮膚の老化を回避できること、また自給自足で生活する狩猟採集民や遊牧民そして農耕民などの伝統社会では朝夕での活動(仕事)がメインで日差しの強い昼にはめったに屋外にでないこと、などが理由です。

とはいえ、文明社会の中ではそのような時間を作るのは困難のため、ビタミンDを最も効率的に合成させる午前11時~午後1時という紫外線の強い時間帯に集中して日光浴をするのがいいと考えられています。(現実的なことを考慮すれば、私もその考えでお伝えしています。)

成長と発育の時期では、十分な体内の酵素とホルモンを生産するためのビタミンとミネラルそして良質なタンパク質が必須です。特にこのビタミンDをはじめ、ビタミンA、B12、葉酸、マグネシウム、亜鉛が最も重要だといっていいいでしょう。しかし、現代人は総じてこれらのビタミンやミネラルが不足しています。

ビタミンDは従来から骨を強くするビタミンと言われていますが、実はそれは多機能を発揮するビタミンDのごく一部の生理機能に過ぎません。ビタミンDはビタミンというよりは各組織の遺伝子に働きかけるホルモンの働きをしており、正常な免疫を維持するための調整作用、腸粘膜の形成、抗炎症作用、成長・発育での生理機能、抗がん作用、エネルギー代謝、などあらゆる機能に携わっています。

紫外線は悪だというのが現代の風潮ですが、地球上に住むあらゆる生命は紫外線なしには健全な営みを全うできません。紫外線の当たり過ぎは良くないのは確かですが、当たらなさすぎはもっと悪いのです。ちなみに、日本人の90%以上がビタミンD不足(<30ng/ml)です(Lips D et al,2006)。 日本でも、インドのこの素晴らしい指導を真似て、紫外線を浴びることの重要性をビタミンDの視点から改めて見直してほしいと思います。 https://www.facebook.com/photo.php?fbid=899507303562972&set=a.122416054605438.20617.100005111323056&type=3&theater

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