【注目すべき書籍の紹介】トマト缶の黒い真実 (ヒストリカル・スタディーズ)・・・ジャン=バティスト・マレ (著),‎ 田中 裕子 (翻訳)

トマト缶の黒い真実 (ヒストリカル・スタディーズ)

ジャン=バティスト・マレ (著),‎ 田中 裕子 (翻訳)

強烈なタイトルですが、内容も強烈でした。。たまにとはいえ、安易にトマト缶を選べませんな 汗。以下、感想と簡単なまとめです。

イタリア産と書かれたトマト缶でも、それは加工された産地であって、原材料のトマトは中国産であることが多い。原材料が中国産であるトマト缶は、イタリア国内に出回ることはあまり無いが、輸出用はほとんど中国産を原材料にしたものだという。

原材料の産地が変わっても、商品にその記載を義務付ける法律はEU圏では少ないそうだ。

中国は今や加工用の濃縮トマトの最大の輸出国になっている。イタリアやフランスなどにあるトマト缶の企業の多くが、中国産トマト缶入り濃縮トマトを輸入し、再加工して個別の容器に詰めなおした後、おしゃれなトマトのデザイン絵が書いてあるイタリア産や南フランス産のラベルを貼って出荷している。

この著者はとにかく工場や産地に出向いて、自分の目で見て、現場の人やメーカー経営者、そしてバイヤーなどを直接取材し、報告しているため、それなりに信憑性が高いと感じた。

さらにとどめは、国際食品見本市で中国の各トマト缶メーカーのランク付けがABCに分かれていたことだ。このランクはクオリティではなく、濃縮トマトの割合を指していたそうだ。

ランクが下がるにつれ、濃縮トマトの割合は低くなり、その分添加物(デンプン、食物繊維、デキストロース、着色料、その他)を入れて、かさ増ししているという驚愕な事実だった。出展していた15の中国メーカーいずれも100%濃縮トマトのみというところは皆無だったそうだ。

ひどいところは、濃縮トマトが31%で、添加物が69%だったらしい。実際に日本にもこうしたものが出回っている可能性は非常に高い。彼らは、ノーと言わないところには安価に合わせて平気で送り込む。

とても心苦しい食の問題の記事が、最近私のウォールでも続いているが、やはり消費者の意識改革を目的とすると、致し方ないと思う。食はストレスから回避するひと時でもあるのに、こうしたネガティヴな報告は本当は心苦しいものである。

トマトソース大好きな私だが 笑、トマト缶は安いものは避け、オーガニックのものに徹底するか、国産の生鮮トマトで加工調理していくことを改めて決意した。。そもそも、缶詰は残留化学物質の多い容器だし。

買ってまで読む必要は無いかもしれないが、こうした事実があるのも知ってて損はないと思う。

食の安全性は、終わりなき、大きな課題である。

・「中国産」が「イタリア産」になる流通の謎
・「添加物69%」の現場
・腐ったトマトの再商品化「ブラック・インク」とは

すべてはトマト缶をめぐる真実だ。
・・・それでもトマト缶を買いますか?

トマトは170カ国で生産され、トマト加工業界の年間売上高は100億ドルにのぼる。
だがトマト缶がどのように生産・加工されているかはほとんど知られていない。
中国、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカを舞台に、業界のトップ経営者から生産者、労働者までトマト加工産業に関わる人々に徹底取材。
世界中で行われている産地偽装、大量の添加物や劣化した原料による健康被害、奴隷的に働かされる労働者などさまざまな問題を暴く。

世界中で身近な食品であるトマト缶の生産と流通の裏側を初めて明らかにし、フランスでも話題沸騰の、衝撃的ノンフィクション。

(目次)
第1章 中国最大のトマト加工会社
第2章 「メイド・イン・チャイナ」のトマトペースト
第3章 伝説化されたアメリカの加工トマト産業
第4章 濃縮トマト輸出トップの会社
第5章 イタリアの巨大トマト加工メーカーのジレンマ
第6章 中国産トマトも「メイド・イン・イタリー」に
第7章 ファシズム政権の政策の象徴、トマト缶
第8章 トマト加工工場の奇妙な光景
第9章 中国の加工トマト産業の暴走――始まりと発展、強制労働
第10章 ハインツの経営合理化とその影響
第11章 加工トマト業界トップ企業、驚異の生産力
第12章 消費者に見えない「原産国」
第13章 天津のトマト缶工場の秘密
第14章 トマト31パーセントに添加物69パーセントのトマト缶
第15章 農薬入りのトマトか、添加物入りのトマト缶か
第16章 アフリカを席巻した中国産トマト
第17章 「アグロマフィア」の象徴、南イタリア産トマト缶
第18章 イタリアの労働者の違法な搾取
第19章 酸化トマト「ブラックインク」をよみがえらせる最新研究

Jean-Baptiste Malet
〈ル・モンド・ディプロマティーク〉〈シャルリー・エブド〉など多くの有名誌に寄稿する新進気鋭のジャーナリスト。2014年に刊行された第2作 En Amazonie, Infiltre dans le meilleur des monde はアマゾンの配送センターに潜入取材して内部事情を告発した問題作で、フランスでベストセラーとなった。第3作にあたる本書は2017年に刊行されると同時に大きな話題になり、「身近な食材のトマトを通じて読者をグローバル経済の恐怖に陥れる」など各メディアに絶賛された。

参照元:Amazon(トマト缶の黒い真実 (ヒストリカル・スタディーズ))

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