アルミニウムを排出するケイ素:アルミニウムは神経毒性や脳障害を引き起こす原因となる金属です。多量のアルミが血液中に入ってくると、その一部が血液脳関門を通過することがわかっています。

アルミニウム(以下、アルミ)は神経毒性や脳障害を引き起こす原因となる金属です。多量のアルミが血液中に入ってくると、その一部が血液脳関門を通過することがわかっています。

アルミは比較的人体に吸収されにくく、銀、ヒ素、鉛、カドミウムよりも毒性は低い金属ではありますが、亜鉛不足のときに顕著に吸収率が上昇します。さらにアルミ調理器具を使用している場合、茶やトマトなど酸の多い食材を煮出すときに、アルミ製の調理器具から汁の中に溶出しやすいです。いったん体内に蓄積してしまうと、なかなかデトックスの難しい金属であるため、長期的に慢性の疾患になりやすいとされています。

以前、マグネシウム(https://goo.gl/t9htCZ)を使用したアルミ排出を紹介しましたが、最近ではケイ素(シリカ)によるアルミ・デトックス法が注目されています。疫学研究や多くの実験では、ケイ素はアルミの吸収を減少させたり、アルミの排泄を高めることがわかっており、アルミによる有害作用から身体機能を守ることができます。

医学雑誌『ランセット』では、ケイ素濃度が高い飲料水ほど経口摂取したアルミの吸収を阻害でき、ケイ素がアルミ排出を促進することを発表しています(Lancet. 1993 Jul 24;342(8865):211-2)。

また、南フランスの地域で、91社の民間業者による水道水のそれぞれの水質アルミ含有量と、65歳以上の認知症の関係についての研究では、アルミ摂取量が多いほど、認知症リスクが増加することが分かりました(Am J Epidemiol. 2009 Feb; 169(4): 489-496)。また、アルミの曝露は高くなればなるほどアルツハイマーの危険因子であることも報告されています。しかし、これらの被験者の中でケイ素の摂取量が多い人ほど、認知症リスクが低下していることがわかりました。(※フランスはアルミ濃度の高い地域が多いため、こうした研究が多く行われています。)

実際に、アルミによる毒性は植物の世界でも同じです。土壌中にアルミが多く残留していると、アルミ感受性植物である大豆、小麦、トウモロコシなどは、根の成長を阻害され、植物全体の成長を著しく低下させます。そこで、ヨーロッパの農業では、有機酸(クエン酸塩など)のようにアルミに対して高いキレート親和性をもつ成分を加えることでアルミの吸収やアルミそのものの毒性を低下させるよう調整することがあります。有機酸だけでなく、ケイ素や硫酸塩などもアルミと錯体を形成することで、有害なアルミを減少させることが実証されています(Tanaka et al,1987;Hodson& Evans,1995)。特に欧米の慣行農業ではケイ素の使用が増えています。

私たち動物の身体も同様で、アルミをキレートし錯体を作り排出を促すものとして、このケイ素(水溶性)、有機酸が有効です。ケイ素はスギナをはじめ、いろいろなハーブや野草にも含まれています。また有機酸は腸内の善玉菌による発酵でも合成されます。

ケイ素摂取によるアルミ毒性低減の研究や、認知症リスク低下の研究は実は数多くあります(Birchall JD,1989;Taylor GA,1995;Doll SR,1993;Flaten TP,2001;Rondeau V,2000;Rondeau V, 2001)。

以上まとめると、アルミは神経毒性や脳障害を引き起こす可能性のある金属ですが、吸収率は低いものの、長期的摂取は認知症リスクが増加し、それはケイ素で低減できると言われています。体に有益なミネラルを摂取することは、現代人にとってとても重要なポイントとなります。

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