緊急事態条項は1980年代に米国が導入し、2001年に発動して憲法の機能を停止させている①

櫻井ジャーナルリンクより

===(以下引用)===

問題の緊急事態条項は1980年代に米国が導入し、2001年に発動して憲法の機能を停止させている

安倍晋三政権は改憲を目指している。現行憲法は民主主義と天皇制官僚国家、ふたつの要素があり、そのうち民主主義を支える要素を破壊しようとしているのだ。中でも重要視されているのが緊急事態条項だが、これは1980年代にアメリカで導入されている。

  自民党の改憲試案を読むと、特に重要な変更は第98条にある。「内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。」というのだ。

  この条項がいかに危険かを知りたいならば、アメリカを見れば良い。1982年にロナルド・レーガン大統領がNSDD55を出し、憲法の機能を停止させる目的でCOGプロジェクトをスタートさせたことは本ブログで何度も指摘してきた。

  アメリカには核戦争が勃発した場合に備えるため、ドワイト・アイゼンハワー政権の時代に「秘密政府」を設置することが決められ、1979年にはFEMAが作られた。それを発展させたものがCOGだ。アイゼンハワー政権で先制核攻撃計画が始動したことも本ブログでは繰り返し書いてきた。

  ここで想定されている緊急事態は核戦争だけだが、1988年に出された大統領令12656によって、憲法は「国家安全保障上の緊急事態」の際に機能を停止できることになる。核戦争である必要はなく、自然災害でも何でも政府が「国家安全保障上の緊急事態」だと判断すれば事足りる。

  そして2001年9月11日、ニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃される。いわゆる「9/11」だ。その攻撃をジョージ・W・ブッシュ政権は「国家安全保障上の緊急事態」だと判断、「テロリズムの阻止と回避のために必要な適切な手段を提供することによりアメリカを統合し強化する2001年法(愛国者法)」(注)が出現した。

  この法律は340ページを超す代物だが、それを議会は1週間で承認、強制収容所の建設を推進する国家安全保障省の「エンド・ゲーム計画」も成立している。愛国者法案を大多数の議員は読んでいなかっただろう。こうしたことが可能だったのは、少なくとも13年という準備期間があったからにほかならない。

  注意深い人なら、1988年の段階で緊急事態条項に注目していただろう。遅くとも2001年には日本人も警戒しなければならなかった。アメリカで導入された以上、早晩、日本でも実行されることは明らかだからだ。おそらく、自民党はアメリカの真似をしたのか、アメリカの支配層から命令されて緊急事態条項を持ち出してきたのだろう。

  愛国者法は軍事侵略と表裏一体の関係にある。2001年9月12日、つまりニューヨークとワシントンDCが攻撃された翌日、ホワイトハウスでは会議が開かれている。その会議に出席したひとり、テロ担当のリチャード・クラークによると、そこで話し合われた議題は9/11についてではなく、イラク攻撃だった。

②へ続く

 

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