アメリカでは、コメ、麦、大豆の新しい品種は、国ではなく、企業が開発している。開発した品種を日本国内に販売しようとすると、日本国内で安定的に供給されている現在の品種が邪魔になる。もうすぐ買う権利が奪われるよ。

「買う権利が奪われる」

コメ、麦、大豆は日本人のソウルフードである。主食は米、うどんやそばに使う麦、醤油や味噌の大豆。

これらを基本食品として、日本ではその品種を独占されないよう、あるいはより良い品種を安定的に供給し、守り続けようとして法律まで作られた。

それが、主要農産物種子法である。

ある時、とある国から圧力がかかった。米国である。米国では、コメ、麦、大豆の新しい品種は、国ではなく、企業が開発している。

この多国籍でもある企業は、開発した品種を日本国内に販売しようとすると、日本国内で安定的に供給されている現在の品種が邪魔になる。なぜなら、苗は安く、県が推奨する奨励品種であれば、政府の買取価格も高くなる。

これは貿易障害となりえるから、この事を決めた法律である、主要農産物種子法の廃止を促してきた。これを受け、国内でも、この法律の役割は終え、企業と共に新しい品種を開発すべきだという声があがる。

そして、議論も少ないままに廃止が決まった。

今まで税金がつぎ込まれていたソウルフードの品種開発や安定供給だが、この税金の流れが止まる。そうなると、県の試験場はどんどん新しい品種の開発から手を引き始める可能性が出てくる。

そして、新しい品種を開発するための原種や原原種を手にした企業が、市場に乗り出してくる。当然企業は、開発にかかった費用の回収のために、新しい品種の権利を主張してくる事になる。

新しい品種を他の企業に奪われないように、あるいは勝手に種取りして、誰も種を買わなくなるような事態が起きないように、自家採種を契約により禁止するという事だ。

さて、これはどういう事なのか。

今まで安く手に入った種は、税金を使用して開発していたから、税金を納める者であれば、誰でも買う権利があった。

しかし、企業が販売するとなると、そうはいかない。価格に開発費用を乗せることで価格は高くなり、権利を持つ者は、売りたくない人には売らなくても何ら問題ないから、我々は買う権利を奪われる事になる。

かつ、買えたところで、自家採種は一切できない。種を取る権利は奪われるべきではないと種苗法で決められいても、そんなものはお構いなしだ。

企業の知的財産権は守るべきだという主張は理解している。だから、企業が新品種を開発し、市場に出してくるのは致し方ないだろう。

だが、日本人のソウルフードは、やはり国民の税金で守り続けるべきだと僕は考える。県の品種の価格が高くなったとしても、税金で行うこの開発は続けていくべきだろう。

企業しか種を開発し続けなくなると、企業の決めたルールに乗らなければ買うことはできない。つまり、買う権利が奪われてしまういうことなのだ。

※種子法廃止後も都道府県の種子生産の予算が確保されるよう国に求める付帯決議が採択されています。しかし、県の開発は暫定的であり、これはいつ終わるかは分かりません。

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