鈴木 猛夫 (著)
日本の風土にあった食生活はなぜ失われたのか。行政と食品業界のタブー、戦後の「アメリカ小麦戦略」の真相に迫る。汚染される現代日本人の食生活の根本的な見直しを訴える問題作。
■昭和20年代(1945年~)—アメリカで農産物の過剰生産、過剰在庫
戦後日本人の食生活が急速に欧米化した裏にはアメリカの存在があった。アメリカは昭和20年代、小麦、大豆等の過剰生産、過剰在庫が深刻化し、その余剰農産物のはけ口として標的にされたのが日本である。
■昭和29年(1954年)—余剰農産物処理法(PL480)成立。
昭和29年、アメリカは余剰農産物処理法 (PL480)を成立させ、日本に対する農産物輸出作戦に官民挙げて本格的に乗り出した。当時の日本側栄養関係者も欧米流の栄養学、食生活の普及、定着が必要だとしてパン、畜産物、油脂類などの普及を意図した「栄養改善運動」に取り組み、日米共同の食生活改善運動が推進された。
■アメリカ小麦戦略
活動資金の多くがアメリカ側から提供されたが、そのことは当時も今もタブーとして長く伏されてきた。 これを一般に「アメリカ小麦戦略」という。
■昭和30~40年代(1955~1975年)—フライパン運動、学校給食など
パンの原料である強力小麦は日本では産出できず、日本人がパン食を始めれば永久的に日本はアメリカのお得意になる。戦前まで少なかった油料理を普及させるためにフライパン運動を展開し、油の必要性を強調する栄養指導が熱心に行なわれた。トウモロコシ、大豆は家畜のエサであると同時に油の原料でもある。余剰農産物処理の観点から欠かせない重要な戦略であった。学校給食ではパンとミルクが無償援助され、子供のうちから洋食嗜好の下地を作ることにも成功した。
■昭和52年(1977年)マクガバンレポート(アメリカは気が付いた)
アメリカ合衆国政府は1977年に 『 ガン、心臓病、脳卒中などの現代病は食生活の間違いで起こる”食源病”である』(マクガバンレポート)と解明して、欧米型の食生活の改善を促した。欧米型とは、脂肪と動物性たん白質、砂糖の過剰摂取。ビタミン・ミネラルや食物繊維の減少のこと。
■食料自給率たった四割
「アメリカ小麦戦略」の成功で、小麦、大豆、トウモロコシの九割以上がアメリカをはじめとする輸入品。食糧自給率は四割以下で先進国中最低。
■問題は命にかかわる
ここまでは、食生活が変わった~。美味しい食べ物のバリエーションが拡がった~。程度の認識でいいかもしれない。
しかし、問題は・・・別にある。
■子供が糖尿病にかかり、アレルギー疾患が蔓延している
問題は、欧米型食生活にともなって病気もまた欧米型となり、日本人の健康状態が非常に懸念される状況になってきたことである。戦前まで少なかったガン、糖尿病、動脈硬化、心臓病、痛風などのいわゆる欧米型疾患は子供にまで広がり、アトピー、花粉症、喘息などのアレルギー疾患も増加の一途である。糖尿病は予備軍を含めて1620万人にのぼり糖尿病に子供が苦しむという前代未聞の事態になってしまった。痛風患者も予備軍を含めて560万人とも言われる。
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□早く、軌道修正すべき!
今こそ伝統的な日本の良さを再認識すべき時ではないだろうか。食物が急激に変わっても日本人の体が簡単に変わるわけではなく、欧米型の病気やアレルギー疾患が増加するのは当然である。「アメリカ小麦戦略」によって日本の「食」が植民地化され、日本人の健康が奪われているのだ。
この事は「食」に限らず日本人の「意識=社会」もそうである。
心と意識の不整合によって起こる「心の病」も欧米によって植え付けられた「個人主義」の蔓延によって起こっている。
現在の日本人でも縄文体質(共同体)を受け継いでいます、潜在思念に則った行動をすればいいのです。このような事実を知らない人が多いが、気づいた人から警鐘を鳴らし続けなければならない。そうでないと日本は何時までもアメリカに支配されたままである。