同じ栄養素、サプリと食事では吸収率がどちらが高いのか。

サプリと食事では吸収率がどちらが高いのか

サプリメントというものは、忙しい日々の中その栄養を効率よく摂取できるものであり、あくまで補助食品です。栄養をきちんと維持するには、やはり日々の食事内容に大きく影響します。もちろん、食事だけで全て栄養を補っていくというのは確かに困難ではあるため、生活スタイルや健康状態によってはサプリも必要な人がいます。

先月(2017/12)、イランのシーラーズ医科大学では、オメガ3サプリ(魚油EPA,DHA)の摂取と、新鮮な魚の摂取を比較した場合、どちらが被験者の脂質プロファイルに効果的に作用するかという研究を発表しています(Nutr Diabetes. 2017 Dec 19;7(12):1)。

これは、高脂血症患者106名に対し、オメガ3サプリを1日2g投与したグループ、週2回マス250gを食べたグループの2つのグループに分け、8週間後に脂質プロファイルの変化を比較した研究です。

結果、どちらのグループも、高かった総コレステロール値やTG値を正常に減少させ、HDL値の上昇をもたらしたのですが、新鮮な魚を食べた食餌グループの方が顕著にその効果があらわれ、特にLDL値も食餌グループの方が優位に減少させたそうです。

さらに、アテローム性動脈硬化リスクの指標とされる、TG / HDL比や、LDL / HDL比は、サプリ群では変化しなかったのですが、新鮮な魚を食べた食餌グループの方が有意に減少しました。

オメガ3油は欧米で多い心臓血管イベント(心筋梗塞など)の予防としてよく取り上げられますが、研究者らは、やはり食事から新鮮な魚を食べることのほうが体内の脂質プロファイルをより良好にしていく可能性が高いと結論づけています。(もちろん、今回の実験ではサプリでも効果があったので、サプリ自体を否定しているものではありません)

サプリメントはできるだけ酸化しないようには設計されているものの、輸送中に車内で高温になってしまったり、購入者の保存状態がよくないと、どうしても酸化してしまいます。そうすると、酸化された油はなかなか吸収されない性質があります。(これは酸化亜鉛や酸化マグネシウムもそうですよね。吸収率が低いことを利用して、上皮に直接作用するように考えられたものです。)

当然酸化されたEPAやDHAは吸収率が下がるため、このような結果になったのではないかと思います。もちろん酸化油を仮に吸収しても基本的には体内の抗酸化リレーにより正常に代謝され、熱エネルギーに使用されるか、膜リン脂質に取り込まれていきます。

しかし、これはオメガ3サプリに限ったことではありません。実は、サプリによる摂取と食餌性による摂取の生体利用率の比較研究はたくさんあります。そして、全てではありませんが、総じて吸収率が高いのは食事性のものです。

たとえば、最近注目されているスルフォラファンの生体利用率は、サプリと食餌性のものを比較した場合、新鮮なブロッコリースプラウトから摂取した方がスルフォラファンの生体利用率が高かったという発表もあります(Pharmacol Res. 2011 Nov;64(5):456-63)。

以上より、やはり日々の食事が大切で、どうしても不足してしまう栄養素がある場合はサプリで補助するというのが基本的な考え方だと思われます。もちろん、何度も言うように、治療中や欠乏症の緊急事態では食事だけでは難しいです。

また、サプリメントの質によっては、食事にも勝る生体利用率を誇るものもあるでしょう。あとはそれぞれが判断していけばいいと思います。

健康の維持の大部分は日々の良質な食事によって支えられています。

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