リーマンショックという金融危機を経て生まれてきた仮想通貨「ビットコイン」。わずか9年で普及し、価値が大幅に上がり、2017年11月段階で1BTC=80万円を超える価値にまで上昇している。
その背景にあったのは、脱支配-被支配、脱中央集権の意識潮流。
今後も使い古された仕組みではなく、自らが作り手となる、もしくは繋がる主体となれる仕組みを求めて、次々と新しい第二、第三のビットコインが生まれていくのではないかと思う。「第二のビットコインはどれ?アルトコインに見る将来性とは」(リンク)より引用
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■ビットコインの脅威の値上がり率
まずは、ビットコインの価格推移の歴史を簡単におさらいしましょう。アルトコインが注目されている背景には、やはり最大の仮想通貨(暗号通貨)であるビットコインの価格上昇があるからです。
ビットコインの生みの親であるSathoshi Nakamoto氏が論文を発表したのは2008年10月でした。2009年にビットコインが誕生して以降、しばらくはほとんど0円に近い状態が続きます。2年後の2011年にTIME誌ではじめてビットコインが特集された段階でも、1BTC=70~80円といった状態でした。
その後、最大の取引所だったマウントゴックス社のハッキング騒動から閉鎖(2014年2月)という危機を乗り越え、2017年には大きく飛躍。2017年1月初めの段階で10万円ほどだったのが、2017年11月段階で80万円を超える水準まで上昇しています。
ビットコインの価格急騰がニュースとして報じられる中で、「第二・第三のビットコイン」を目指すアルトコインにも目が向けられるようになりました。
■リスクも可能性も秘めるアルトコインの特徴
アルトコインにはリップル、イーサリアム、ライトコインなど、数え切れないほどの種類があります。2017年に入って100倍も価格が高騰したアルトコイン(リップルなど)もありますが、ほとんど値がつかないようなものも多くあります。
アルトコイン全体として共通点を見出すことは難しいのですが、ひとつ特徴として言えることは「脱中央集権志向」「アンチ中央政府」である点です。これは、ビットコインとも共通する仮想通貨システムの思想となっています。
一般的な通貨は、国家(中央政府)が信用を担保しています。日本円が商品や他の通貨と交換できるのは、日本政府が世界で信用されているからに他なりません。
ビットコインやアルトコインは、政府の信用を必要としません。システムへの参加者のシステム利用と合意によって運営されていること。これが、ビットコインやアルトコインを支える思想です。
■アルトコインが次々登場する3つの理由
ビットコインがあるにもかかわらず、次々とアルトコインが出てくるのには3つ理由があります。それは、ビットコインに技術的な課題意識を持つ人々がいること、ビットコインには量的な上限があること、そしてビットコインを支えるプログラムが公開されていることです。
ビットコインには、いくつか制約があります。例えば、総発行枚数が約2,100万ビットコインと決められていることや、取引の承認に時間がかかることです。「マイニング」と呼ばれるビットコインの「採掘」が進められていますが、上限に近づくにつれて技術的なハードルが高くなっています。
そこで、ビットコインのプログラムを活用・修正して、別の仮想通貨=アルトコインを作る人々が現れました。もし、新しく作った仮想通貨の人気が出て価格が高騰したら、作った人や創世記に購入していた人は大きな資産を持つことができるでしょう。
ビットコインと同じように脱中央集権志向を持ちつつも、ビットコインの制約を乗り越えようとして、そして億万長者になる夢をモチベーションとしつつ、今日も名もなきアルトコインが作られているのです。